2021 Fiscal Year Research-status Report
膀胱尿管逆流に対するカラードプラ法超音波検査を用いた新たな非侵襲的診断法の確立
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18K09207
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
浅沼 宏 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (70245570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大家 基嗣 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (00213885)
篠島 利明 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60306777)
水野 隆一 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (60383824)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膀胱尿管逆流 / 逆流性腎症 / 巨大尿管 / マウス動物モデル / カラードプラ法超音波検査 / 非侵襲的診断法 / 小児泌尿器疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、健常者ボランティア、尿路感染症(UTI)患者、腎盂尿管拡張を有する患者を対象にした臨床研究によって膀胱尿管逆流(VUR)および逆流性腎症(RN)の 診断において、カラードプラ法超音波検査による尿管口jetの方向と尿管口間隆起のなす角度(UJA)測定の有用性を検討すること、および、動物を用いた基礎研究 による病理組織学的検討からその妥当性を検証することを目的とした。このうち、2021年度に以下の研究について成果を得た。 1) UJA測定の再現性、UJA値に影響する因子の検討 健常者ボランティア19名(男性10名、女性9名)を対象としてUJAおよび膀胱内尿量を検者3名で評価した。UJAの中央値は13.24°で、男女間(男性13.53°、女性12.95°、p=0.762)、および左右(右12.39°、左15.84°、p=0.271)での有意差は認められなかった。膀胱内尿量とUJAの関連は相関係数0.144と相関性は認められなかった。級内相関係数ICC(2, 1)=0.898と検者間信頼性が確認でき、各検者の検査時間は中央値3.02分、4.42分、3.90分と短時間で施行可能であった。 2) 既知の患者データを用いた後方視的検討 UTI患者133症例を対象としてUJAとDMSA腎シンチグラフィーによる腎瘢痕の関連性を評価した。UJAの中央値は60.0°で、腎瘢痕あり群のUJA(平均70.7°)は腎瘢痕なし群(平均58.0°)と比較して有意に大きかった(p<0.001) 。多変量解析の結果、UJA(p<0.001)は年齢(p=0.021)とともに腎瘢痕と関連する独立した因子であった。UJAの各カットオフ値における腎瘢痕を予測する感度・特異度を検討した結果、シンプルなカットオフUJA>45°を採用した際に、高い特異度(96.0%)でDMSA腎シンチグラフィー陰性を予測できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
理由 1) 2020年初頭以来のCOVID-19禍により、感染リスク(密閉・密集・密接)の回避のため患者を対象とした前方視的な臨床研究が遅滞している。 2) 同様にCOVID-19禍のため、国内および国際学会・研究会が中止や延期となり、当該研究に関わる有用な情報の入手が困難となっている。 3) 同様にCOVID-19禍のため、動物実験室の使用制限が発生し、また、実験動物や実験機器の購入や搬入が困難となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19禍の収束を期待して、さらに科研費使用の1年延長を申請した。対象となる患者の感染リスク対策を徹底した上で前方視的な臨床研究を遂行する。動物実験室の使用制限解除となり次第、VUR動物モデルを用いた病理組織学的検討を遂行する。
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Causes of Carryover |
2020年初頭以来のCOVID-19禍にともない、以下の理由から研究遂行の遅滞が生じてしまった。 1) 感染リスク(密閉・密集・密接)の回避のため患者を対象とした前方視的な臨床研究が遅滞した。2) 国内および国際学会・研究会が中止や延期となり、当該研究に関わる有用な情報の入手が困難となった。3) 動物実験室の使用制限が発生し、また、実験動物や実験機器の購入や搬入が困難となった。 さらに研究費使用を1年延長させていただき、2022年度は遅滞していた動物モデルを用いた病理組織学的検討のためのC3H/HeJ系またはC3H/HeN系マウスや実験機器の購入、集積した臨床データの解析、国内外の学会・研究会への参加費などに充て、研究を進める。
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