2019 Fiscal Year Research-status Report
羊膜由来間葉系幹細胞がもつEPA-レゾルビン産生と早産予防効果の検討
Project/Area Number |
18K09214
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大西 俊介 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (10443475)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 幸司 北海道大学, 大学病院, 特任助教 (70608322)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 早産 / MSC / EPA / レゾルビン産生 |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠7日目のラットを用いて、10mgのEPAを1日1回の割合で2週間連続投与した。2週間後、ラットの羊膜を採取し、コラゲナーゼ(200 U/ml)を添加後、37℃で1時間振盪した。その後、10%胎児ウシ血清含有培養液にて分離培養を行った。培養後、細胞、その培養上清ならびにラット羊水を回収し代謝物の網羅的解析を行った。結果、コントロール群と比較してEPA投与群ではラット羊水中ならびに羊膜MSC由来培養上清中においてEPAの下流の代謝産物であるレゾルビンE1が有意に産生されていることが明らかとなった。 また更なる研究の発展があり、次年度計画予定であったLPS投与後の早産ラットを作成した。このラットを用いてEPAの投与を行ったところ、LPS投与ラットは約17日目程度で早産を起こしたが、この早産ラットにEPAを1日1回の割合で2週間程度投与した群では早産が認められず、通常ラットの出産(21日以降)と同程度であった。 さらに、このラットから羊水を採取し、EPAの代謝産物の検証を行ったところ、コントロール群に比べて早産ラットの羊水ではレゾルビンE1の産生が著しく低下していた。また、この早産ラットにEPAを投与すると早産が改善されたほか、レゾルビンE1の産生が回復していることが明らかになった。一方で、この早産ラットモデルから羊膜からMSCを分離培養し、この培養上清中に含まれるEPA代謝産物の検証を行ったところ、コントロール群に比べてLPS投与後の早産ラット由来MSCの培養上清では、レゾルビンE1の産生が著しく低下していたが、この早産ラットにEPAを投与するとラット由来羊膜MSCの培養上清中には、レゾルビンE1の産生が回復し増加傾向を示した。現在、MSC、その培養上清ならびに羊水中に含まれる代謝産物の検証を引き続き行っており、早産の発症を予測するバイオマーカーの探索を検証中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次年度計画予定であったLPS誘導性早産ラットモデルを用いたEPAの早産改善効果の検証に加えて、MSCの培養上清中ならびに羊水中に含まれる代謝物の解析を開始しており、早産発症を予測する新規バイオマーカーの候補が明らかとなっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
妊娠ラットを用いて100-500ngのLPSをラットに投与し早産を誘発させる。その後、正常および早産由来ラット羊膜MSC(1×107個)と羊水(100μl)を経時的に採取し、有機溶媒を用いた前処理後、LC-MSならびにSFC/MSにて羊膜MSC内EPAの含有量、羊水中のEPA由来代謝物の変化を解析する。さらに、ヒト由来正常および早産由来羊水中代謝産物との比較解析を行い、早産リスクを事前に予測できる早期診断バイオマーカー候補の探索を引き続き実施する。
|
Causes of Carryover |
(理由)本年度に購入予定であった試薬が輸入扱いになり、今年度中に試薬の確保ができなかったため。
(使用計画)次年度計画予定であるLPS誘導性早産ラットモデルの作成を予定しているほか、EPAを購入し早産ラットモデルへの投与実験ならびに早産を予測するバイオマーカーの解析に使用予定である。
|