2018 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜症に起因した卵巣性不妊に対する治療予防標的の探索
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18K09221
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
甲賀 かをり 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (10396723)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 子宮内膜症 / 卵巣機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、子宮内膜症における妊孕能低下、特に卵巣機能低下が原始卵胞の異常活性化が関与している可能性について検討した。 同系マウスの子宮移植による子宮内膜症モデルマウスを作成した。陰性コントロールには通常のマウス、陽性コントロールにはサイクロフォスファミドを投与したマウスを用いた。子宮内膜症マウスでは、シクロフォスファミド投与マウスと同様、原始卵胞の数が減少し、一次、二次、胞状卵胞の数をが増加すなわち原始卵胞の異常活性化が起きていることをが判明し、これが卵巣機能低下に寄与している可能性が示唆された。また原始卵胞の以上活性化は子宮内膜症の病変の重量に比例することを見出した。また、その原始卵胞の異常活性化には、PI3K/AKT-FOXO3経路の活性化が関わっていることが、免疫組織学的検討から確認された。 ヒト子宮内膜症患者の摘出卵巣標本を用いた免疫組織学的検討でも、子宮内膜症患者の卵巣ではPI3K/AKT-FOXO3経路の活性化を認めた。さらに、サイクロクロフォスファミドによる卵巣毒性に対する保護作用が報告されているPI3K/AKT阻害剤を、子宮内膜症モデルマウスに投与することにより、PI3K/AKT-FOXO3経路の活性化が抑制されること、さらに原始卵胞の減少を抑制することが確認できた。 以上の結果から、PI3K/AKT阻害剤は子宮内膜症における卵巣機能低下へを予防する新規治療薬となりうることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
子宮内膜症モデルマウスを用いた研究については仮説と同様の結果が得られており、今後はさらに他の経路や薬剤につき検討予定である。顆粒膜細胞の網羅的遺伝子解析については検体数を揃えるのに時間を要したため予定よりも進展が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
顆粒膜細胞の網羅的遺伝子解析については検体数が揃ったため網羅的解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
他の研究費も用いて研究を行ったため、本研究費の残余が生じた。
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