2020 Fiscal Year Annual Research Report
Immunosuppressive tumor microenvironment of uterine cervical adenocarcinoma
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18K09223
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
尾崎 聡 金沢大学, 保健学系, 助教 (40401921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠島 里美 金沢大学, 保健学系, 教授 (20444200)
中村 充宏 金沢大学, 医学系, 講師 (50377397)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 子宮頸部腺癌 / 癌微小環境 / 制御性T細胞 / 画像解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮頚癌の組織型には、Human papilloma virus (HPV) の感染を起因とした、扁平上皮癌と腺癌がある。近年、頸癌全体に対する腺癌の割合と発生件数は、共に増加傾向にある。腺癌の生物学的特性および臨床挙動は、扁平上皮癌と異なっているにもかかわらず、現在の子宮頚癌治療ガイドラインは両者を区別しておらず、より効果的な治療戦略構築のため、扁平上皮癌と腺癌を区別した癌進展機構の解明が必要である。通常、癌は血管新生や免疫回避を目的として癌微小環境を形成するが、子宮頸癌はHPVと腫瘍の両方に対する免疫寛容が成立している点で、他臓器の癌とは異なる。先行研究でも、扁平上皮癌が免疫抑制性癌微小環境を構築し、免疫応答を回避することが示されているが、腺癌における癌微小環境の扁平上皮癌との異同は不明である。本研究は、病理標本をデジタル化したバーチャルスライドを用いて、標本全範囲の画像解析を行う手法により、免疫抑制の面から、扁平上皮癌と腺癌における癌微小環境の動態とその異同を明らかにする。両者を区別した癌微小環境の解明は、より一層効果的な子宮頸癌治療戦略の構築に資する。昨年度には、これらの染色標本のバーチャルスライド化とその画像解析により、腫瘍組織における免疫細胞の種類・個数・局在性の評価を進めてきた。最終年度では、引き続いて画像解析を進めるとともに、順次、得られたデータの統計学的解析を行った。主要な結果として、細胞性免疫を担うTh1と液性免疫を担う Th2、および細胞性免疫を抑制する Tregの出現数において、腺癌は扁平上皮癌に比し、Th1―Tregの出現比率が有意に低いことが示された。腺癌ではTregによる細胞性免疫の抑制がより強い環境にあり、Tregの誘導制御が腺癌の効果的な治療法の確立に寄与すると考えられる。今後、他の解析結果とともに論文としてまとめ、研究成果を公開する。
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