2019 Fiscal Year Research-status Report
細胞周期監視機構を標的とした難治卵巣明細胞癌の新規治療法の開発
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18K09235
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
棚瀬 康仁 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (20423915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 有紀 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (20588537)
小林 浩 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40178330)
川口 龍二 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (50382289)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 卵巣明細胞癌 / USP28 / CLASPIN / Chk1 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNAマイクロアレイによる網羅的解析と免疫染色により、HNF-1βが、卵巣明細胞癌に特異的に発現することを確認した(Kajihara H, Kobayashi H. Int J Gynecol Pathol. 2012.)。また、HNF-1βは細胞周期チェックポイントにおいて、DNA損傷に対しセンサーとして作用する蛋白(Checkpoint kinase1:以下Chk1)のリン酸化・活性化を異常誘発し、細胞周期停止を持続させることを発見した。さらに、チェックポイント機構に重要な蛋白を網羅的に調べた結果、HNF-1βはChk1に選択的に結合する蛋白であるクラスピンの発現を介してChk1蛋白のリン酸化を強力に維持し細胞周期を停止させ細胞死への誘導を阻害していた。また、クラスピンはユビキチン化により失活するが、このユビキチン化を制御する脱ユビキチン化酵素Usp28(Ubiquitin Specific Protease 28)がさらにその上流で過剰発現していることを確認したHNF-1betaはChk1と結合し,Chk1の自己リン酸化を促進させる働きをもつCLASPINの発現を介して,Chk1のリン酸化を維持していた.HNF-1betaの有無でCLASPINのmRNAの発現に差はなく,ユビキチン化による分解系に着目した.その結果,HNF-1betaは脱ユビキチン化酵素であるUSP28の過剰発現を介してCLASPINの分解を抑制することで、Chk1の自己リン酸化を促進させることがわかった.また,HNF-1beta陽性株においてCLASPIN、USP28を一過性ノックダウンすると,HNF-1betaをノックダウンしたときと同程度に細胞死の誘導が促進され,抗がん剤抵抗性が改善した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画に基づき、各種実験を進めて行ったが思うようなデータが出ず、実験経過の学会発表を1件行うにとどまった。
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Strategy for Future Research Activity |
Chk1を用いた治験は進行中ではあるものの、副作用が強く中止に至るものも散見される。我々もChk1阻害による明細胞癌に対する高い効果には期待できるものの副作用が問題となる可能性がある。しかしUSP28やCLASPINについては阻害薬が現存しない。対応策としてクラスピンとChk1が結合するChk1 binding domain(CBD) に結合する人工ペプチドを用いた実験を行うこととする。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた細胞培養関連、MTT関連、 各種薬剤などの物品購入が不要であったため。また学会参加費、旅費が不要であったため。
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Research Products
(1 results)