2021 Fiscal Year Research-status Report
新たな早産予防戦略を指向した、子宮頸管における無菌性炎症とその制御機構の解明
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18K09239
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
桑原 慶充 日本医科大学, 医学部, 准教授 (40373013)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 映 日本医科大学, 医学部, 助教 (10333113)
竹下 俊行 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (60188175) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 頸管熟化 / 早産予防 / 無菌性炎症応答 / プロゲステロン |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの解析により、難治性頸管無力症患者由来のヒト頸部線維芽細胞培養系では、プロゲステロン応答が低下し、潜在性炎症が亢進していることが明らかになった。そこで、プロゲステロン消退によって無菌性に誘導される炎症応答の全容解明を目指し以下に研究展開した。 ◆プロゲステロン消退型早産モデルマウスによる検証:① 妊娠15日目マウスにプロゲステロン拮抗薬mifepristone 500μgを投与し12時間後に子宮頸管組織よりRNAを抽出し、PCR arrayを用いて、有意に発現変化を示す炎複数の症応答性分子群を同定した。著明な発現変動を示したCCL11に着目し、好酸球浸潤を特徴とした頸管熟化過程における新たな炎症応答機序を明らかにした。② 同実験系を用いてmifepristone投与前および投与後に採取した頸管組織をセルソーティングし、シングルセル解析へに向けた基礎データを採取した。 ◆頚部線維芽細胞培養系を用いたIn vitro のプロゲステロン消退系による網羅解析:エストロゲン+プロゲステロン存在下で未熟化頸管由来のc-UCFsを培養し、プロゲステロン拮抗薬mifepristoneを添加することで、In vitroにプロゲステロン消退を再現し、RNA-sequence法で特異的に発現誘導される遺伝子群のスクリーニングを行い、プロゲステロン消退によって誘導される特異的な分泌タンパクを同定した。 ◆難治性不妊患者の全ゲノムシークエンス解析:プロゲステロン不応が継承されることを特徴とする難治性不妊患者由来の頸部線維芽細胞培養系よりゲノムDNAを抽出し、WGS解析に向けたデータ採取を行った。プロゲステロン受容体発現調節の上流に係る遺伝学的変化について、RNAシーケンス法とAtackシーケンス法の結果と統合して解析し、プロゲステロン消退の起点を捉える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロゲステロン拮抗型マウス早産モデルを確立し、プロゲステロン消退によって生体内でもたらされる頸管熟化変化を観察することが可能となった。ヒト検体由来の頸部線維芽細胞培養系については、ゲノムワイドなデータ収集をすでに終了しており、統合的な解析を行う状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
プロゲステロン拮抗型マウス早産モデルを用いて、子宮頸部組織を用いたシングルセル解析へと展開する。頸管熟化に伴う分子発現を細胞レベルで高精度に捉えることで、プロゲステロン消退によってもたらされる無菌的炎症像の全容を明らかにする。難治性頸管無力症患者由来の頸部線維芽細胞培養系より収取した、全ゲノムシーケンス、RNAシーケンス、Attackシーケンスのデータを用いて、プロゲステロン受容体の発現調節に係る遺伝学的変化を統合的に解析し、ヒト生体内でプロゲステロン消退が誘起されるメカニズムの解明を目指す。
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Causes of Carryover |
当該年度は、マウスモデルによるシングルセル解析に向けた検討、グローバル解析(WGS,RNAシーケンス,ATTACシーケンス)のデータ収取を行った。次年度に統合的な解析に展開することを見込み、必要経費を充当する目的で翌年度分として請求した。
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