2019 Fiscal Year Research-status Report
特異的代謝メカニズムを標的とした婦人科悪性腫瘍がん幹細胞の新規治療法の探索
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18K09250
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
石黒 竜也 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (80625690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 隆之 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90283754)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 子宮体癌 / がん幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々が臨床子宮体癌組織より樹立した3次元スフェロイド培養を用い解析を行った。子宮体癌スフェロイド細胞は造腫瘍能・スフェロイド形成能・幹細胞因子発現などのがん幹細胞性質を有しており,特にアルデヒド脱水素酵素活性(ALDH)を有する細胞(ALDH高活性細胞)ががん幹細胞性質を有しており,ALDH活性を有さない細胞(ALDH低活性細胞)への分化能を認めた。ALDH阻害剤やALDH発現抑制によりALDH活性を抑制することで,がん幹細胞性質が抑制されたまたALDH高活性細胞は,抗がん剤パクリタキセルに対する低感受性を示した。一方,ALDH過剰発現によるALDH活性の亢進によりがん幹細胞性質が亢進した。 ALDH高活性細胞は糖の取り込み亢進に伴う解糖系の亢進を認めた。糖輸送体GLUT1の阻害剤やGLUT1発現抑制により,糖取り込みを抑制することでがん幹細胞性質が抑制された。さらにGLUT1阻害剤は抗がん剤パクリタキセルとの併用により相乗的な腫瘍形成抑制効果を示した。 子宮体癌臨床組織検体の免疫染色より,ALDH1A1およびGLUT1項発現群は予後不良であることが明らかになった。 以上より,子宮体癌幹細胞の維持にALDHを介した解糖系の亢進メカニズムが明らかになり,ALDH阻害剤・GLUT阻害剤の子宮体癌の新規治療としての有用性の可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に目標としたひとつの子宮体癌における特異的代謝メカニズムを明らかにし,論文発表した。他がん種に類似し,がん幹細胞において解糖系の亢進を認めたが,今回特にGLUT1を介したALDHの解糖系代謝メカニズムの関与を明らかにし,さらに臨床治療への応用の可能性を見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
今回得られたALDH阻害剤・GLUT阻害剤の有効性につき臨床試験への発展を模索する。 さらに子宮体癌で明らかになった特異的代謝メカニズムのがん種を超えた普遍性またはがん種による特異性を明らかにするため,卵巣がんにおける代謝メカニズムに着目し研究を推進する。 また今回解糖系を中心とした解析を行ったが,ミトコンドリア酸化的リン酸化の変化にも着目し,がん幹細胞のエネルギー代謝メカニズムの解明を目指す。
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Causes of Carryover |
論文執筆を中心とした活動時期があり,使用試薬・解析費用が申請時の予定よりも低額となったため,次年度への使用持ち越しとした。次年度予定分と合わせて,当初予定の試薬・解析費用への使用を予定している。
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[Journal Article] ALDH-dependent glycolytic activation mediates stemness and Paclitaxel resistance in patient-derived spheroid models of uterine endometrial cancer2019
Author(s)
Mori Y, Yamawaki K, Ishiguro T, Yoshihara K, Ueda H, Sato A, Ohata H, Yoshida Y, Minamino T, Okamoto K, Enomoto T
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Journal Title
Stem Cell Reports
Volume: 13
Pages: 730
DOI
Peer Reviewed / Open Access