2019 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜癌におけるPPP2R1A遺伝子変異の意義の検討
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18K09254
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
布施谷 千穂 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (50447736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井田 耕一 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (10773442)
宮本 強 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (70418721)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | RPP2R1A / 子宮内膜癌 / 漿液性癌 / PP2A / PIM1 / リン酸化 / 脱リン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
PPP2R1Aは細胞内リン酸化シグナル経路を抑制的に調節する脱リン酸化酵素複合体PP2Aの調節subunitであり、子宮内膜癌の中で特に予後不良な漿液性癌や癌肉腫で20~40%の変異が報告されており、有望な治療ターゲットである。しかしながら、同遺伝子変異が引き起こす細胞機能の変化などは検討されていない。そこで本研究では子宮内膜腺上皮および内膜癌細胞におけるPPP2R1A変異の、細胞機能(増殖能、浸潤能、造腫瘍能、抗がん剤耐性など)への影響や、その分子機構を解明することを目的とする。これまでPPP2R1A単独の変異ではマウス子宮内膜に内膜癌発癌を誘導できていない。PP2Aと同様のtargetをリン酸化して活性化し、PP2Aと拮抗的に作用するPIM1発現について子宮内膜癌で検討すると、PIM1発現は類内膜癌103例に比較して漿液性癌30例で有意に増強しており(P>0.0005)、特に漿液性癌においてはPIM1高発現例の全生存期間が有意に短縮していた(P=0.001)。このようなことからPP2Aによる脱リン酸化とPIM1によるリン酸化の機能バランスが重要となる可能性が考えられる。我々は子宮内膜漿液性癌細胞株ARK1, ARK2, SPEC1, SPEC2を用いて、PIM1発現をsiRNAで抑制したところ、増殖の抑制が観察された。さらにPIM1 inhibitor添加により、これらの細胞の増殖能、遊走能、浸潤能の抑制が観察された。PP2AおよびPIM1の標的タンパクは多数存在するが、PIM1 siRNAによりリン酸化MYCの発現減少が観察されることから、MYCの関与が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子改変マウスのPPP2R1A遺伝子変異誘導のみでは子宮内膜癌発生は観察されていない。このため、PPP2R1A変異導入細胞作製とPPP2R1A発現抑制細胞を用いて検討を行う。またPP2Aと拮抗する作用を持つと考えられるPIM1に注目して実験を行っており、PIM1抑制や阻害による細胞機能の変化について順調に結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に実験計画に沿って研究を進めていく。培養細胞を用いた実験では、PPP2R1A変異導入細胞や発現抑制での機能解析を進めていく。また、子宮内膜漿液性癌細胞株を用いて、PPP2R1A遺伝子導入やPP2Aに拮抗的に作用するPIM1の発現抑制、阻害薬による細胞機能変化解析を続行する。特にp53変異を有する細部株でのPPP2R1A変異誘導の効果を確認する。またin vivo実験も進めていく。
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