2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K09261
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
折出 亜希 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 講師 (00423278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金崎 春彦 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (10325053)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | GnRH / キスペプチン / 視床下部 |
Outline of Annual Research Achievements |
エネルギーバランスは女性の生殖機能と密接に関係している。グルカゴン様ペプチド-1 (GLP-1)は食事をとると小腸から分泌され、インスリン分泌を促進する働きを持つため糖尿病の治療薬として用いられているが、視床下部に作用し摂食抑制作用を示す事が知られている。視床下部不死化細胞rHypoE8及びGT1-7, ラット胎児脳初代培養細胞をモデル細胞とし、GLP-1によるキスペプチン発現の変化を定量PCRで測定した。 rHypoE8細胞、GT1-7細胞、ラット胎児脳初代培養細胞にはGLP-1の受容体が存在した。また、これらの細胞にはキスペプチン及びGnRHの発現があることを確認した。GLP-1は3つの細胞全てにおいてキスペプチン発現を増加させた。rHypoE8細胞における検討でGLP-1はcAMP/PKA経路を活性化させることが分かった。摂食抑制因子として知られているレプチンもGLP-1と同様にrHypoE8細胞においてキスペプチン発現を増加させた。GLP-1はGnRH発現作用を有しなかった。これらのことよりGLP-1は視床下部キスペプチンの発現を介して、生殖機能に影響を与えている可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々はこれまで生殖機能の中枢での制御機構を明らかにするために研究を行ってきた。生殖機能とエネルギーバランスは密接に関与していることは、続発性無月経の原因としてダイエットによるものが多いことからも明らかである。今回は摂食に関係するホルモンであるGNP-1に注目し、視床下部キスペプチン及びGnRH発現に対する作用を確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
トランスジェニックマウス由来視床下部不死化細胞であるmHypoA50細胞、mHypoA55細胞はキスペプチン、エストロゲン受容体を発現し、E2に反応することが報告されている。しかもmHypoA50細胞はE2によりキスペプチン発現が増加し、mHypoA55細胞はE2によりキスペプチン発現が減少することより、mHypoA50細胞はAVPV領域、mHypoA55細胞はARC領域のキスペプチンニューロンのモデル細胞として使用できる可能性が示されている。これらの細胞を用い、E2によるfeedback機構について、何か影響を与える生理活性物質があるのか、摂食やストレスに関与する物質を中心に検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2019年3月国際学会で発表予定であったが、COVID-19の世界的流行のために学会が中止となり参加できなくなったため。
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