2019 Fiscal Year Research-status Report
子宮頸癌進展におけるPD-L1の役割とPD-L1発現亢進の制御機構の解明
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18K09278
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
董 培新 北海道大学, 医学研究院, 助教 (50602504)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | PD-L1 / miRNA / Endometrial cancer |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に基づき、PD-L1の発現亢進に関わる癌促進的miRNA候補の同定とその下流経路と機構の解析を試みる。まず、PD-L1の上流制御因子であるPTENを標的するmiRNA候補を、In Silico解析で予測した。結果として、複数のmiRNA候補(miR-17、miR-18a、miR-20a、miR-182及びmiR-183)を発見した。そして我々の研究室で頸癌細胞HeLaから樹立された高浸潤性亜細胞株と親株のmiRNA発現を比較することで、潜在的な癌促進miRNAs群miR-17、miR-18a、miR-20a及びmiR-182)を同定し、In Silicoの解析より発見した候補miRNAと照合して、PD-L1の制御に関わる癌促進的miRNA候補群の絞り込みに成功した。その後、PD-L1の発現亢進におけるmiR-18aの役割とその分子機構を解析した。ゲノム編集技術CRISPR/Cas9法を用い、miR-18a遺伝子をノックアウトすることで、頸癌細胞におけるPD-L1遺伝子発現の減少及び頸癌細胞悪性の抑制を引き起こすことを明らかにした。続いて、miR-18aによって支配される下流シグナル分子群の解明について、新規PI3K阻害剤ZSTK474、MAPK阻害剤PD0325901、STAT3阻害剤BP-1-102、p53の安定性を高めるNutlin-3の投与によるPD-L1の発現、PI3K/AKT分子経路、RAS/MAPK分子経路、STAT3分子経路、p53分子経路の活性及び頸癌細胞の悪性形質に与える影響を検討したことによって、miR-18aの過剰発現を招き、下流にあるPI3K/AKT、RAS/MAPK及びSTAT3経路を活性化し、p53経路の動きを抑えることで、PD-L1の高発現を引き起こすことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に基づき、PD-L1の発現亢進に関わる癌促進的miRNA候補の同定とその下流経路と機構を解析した結果、miR-18aは、下流にあるPI3K/AKT、RAS/MAPK及びSTAT3経路を活性化することで、またp53経路の動きを抑制することで、間接的に頸癌細胞におけるPD-L1の高発現を引き起こすことを明らかにした。これは研究計画通りの成果であり、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
miR-18a発現制御に関わる上流分子の同定と機構の解析を中心に研究を展開する。我々独自の解析では、miR-18a遺伝子のプロモーター領域配列には、STAT3、E2F1などの複数の転写因子の結合配列領域が含まれている。これらの潜在的調節因子の発現を変化させ、miR-18a発現変化をRealtime PCR法で確認した上で、転写因子とmiR-18a遺伝子プロモーター領域との結合能をクロマチン免疫沈降法により分析する。また、miR-18a遺伝子プロモーター配列を含むルシフェラーゼベクターを作製して、STAT3、E2F1などの発現ベクターと同時に頸癌細胞に導入して、ルシフェラーゼアッセイによってmiR-18a遺伝子プの転写活性の制御に関わる上流分子の同定を行う。更に転写因子結合領域に変異を加えたルシフェラーゼコンストラクトを作製し、転写因子結合部位の同定を行う。
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Causes of Carryover |
研究は計画通り進展しており、miR-18a発現制御に関わる分子シグナル伝達経路の解明に必要な試薬を購入する必要があったため。また研究成果を報告するための学会参加を予定している。論文掲載料に充てる予定もある。
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