2019 Fiscal Year Research-status Report
卵巣明細胞癌のテロメラーゼ逆転写酵素プロモーター変異とビタミンA受容体の関連
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18K09282
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
錦見 恭子 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (00536302)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / TERT |
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣癌明細胞腺がんの臨床サンプルより同定したTERT core promoter変異(既知のものを含む13種類)がプロモーター活性に影響するかをLuciferase assayにて評価した。 その結果、活性上昇型が5種類、活性変化なしが2種類、活性低下型が6種類存在することが明らかとなった。活性の変化と再発率との関係を調べると、変化がないタイプでは再発率が26.3%であったのに対し、活性上昇型では8.3%に低下した。一方、活性低下型変異をもつ症例での再発率は55.6%と再発率が約2.1倍上昇することが明らかとなった(OR:13.75,p=0.0178)。 卵巣癌細胞株TOV21Gを用いてCRISPR Cas9によるpromoter領域のゲノム編集を行なったところ、点変異の導入直後は、変異が導入されていると思われる細胞がDNAミスマッチ切断法にて確認できたが、単一コロニーに分離することができなかった。これはcore promoter活性の低下による細胞増殖抑制が関連すると推定された。 昨年度の実験で、RXR agonist(Bexaroten)がTERTとは関係のない機序で卵巣癌細胞(漿液性腺がん株2種類、明細胞腺がん株1種類)の細胞死を誘導する知見を得たため、RXR agonistの細胞死誘導作用についての解析を行った。形態学的観察により、RXR agonistを刺激した細胞では細胞の膨潤、細胞膜の破裂を伴う特徴的な細胞死を誘発していたため、細胞破裂を伴う細胞死であるパイロトーシスに着目した。RXR agonistはパイロトーシスマーカーであるカスパーゼ4およびガスダーミンEの活性化を誘導し、Caspase1,4阻害剤はbexによる細胞死を減弱された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Luciferase assayの抗体選択に時間がかかったが、最終的には有効な抗体が見つかり、実験が継続できた。卵巣癌細胞株TOV21GにCRISPR Cas9によるTERTpromoter領域のゲノム編集を行なったが、単一コロニーに分離ができず、時間を費やした。その他の実験は順調に進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
卵巣癌細胞株TOV21GにCRISPR Cas9を用いてTERT promoter領域の点変異を導入したが、単一コロニーに分離できるようにする方法を検討する。また、RXR agonistの細胞死誘導機構の機序に小胞体ストレスが関与するかを検討する。TERT promoterの活性低下型変異が癌の再発に寄与する機序を解明する。
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