2019 Fiscal Year Research-status Report
高悪性度唾液腺癌に対する網羅的遺伝子解析による新規治療標的分子の発見
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18K09309
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加納 里志 北海道大学, 大学病院, 講師 (00374421)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 耳鼻咽喉科学 / 頭頸部腫瘍 / 唾液腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
唾液腺導管癌症例における、保存検体を用いての遺伝子変異および遺伝子発現解析を行った。遺伝子変異に関しては有意な結果が得られなかったが、遺伝子発現に関しては、遺伝子発現プロファイルによりサブタイピングマーカー遺伝子計14遺伝子のうち、9つの遺伝子AR、ERBB2、ESR1、GATA3、GLI1、GRB7、KRT18、KRT19、SLC39A8、TFF3、VEGFA、XBP1でDi Palma分類間(過去に報告されている免疫染色に基づいた唾液腺導管癌の分類。HER2-positive群、Luminal-AR群、Basal-like群の3つに分類されている。)における遺伝子発現の有意差を認めた。また、発症様式間(多形腺腫由来型 vs de novo型)における遺伝子発現の比較検定において、ERBB2、IGF1R、PTEN、RB1、SLIT2、VEGFA、XBP1において遺伝子発 現の有意差を認めた。ERBB2、IGF1R、RB1、VEGFA、XBP1は多形腺腫由来型優位の遺伝子発現、PTEN、SLIT2はde novo型優位の遺伝子発現であった。発症様式間において有意差を認めた発現遺伝子は血管新生とAKT-PI3Kシグナルにその機能が集中していたのも、興味深い結果であった。これらの結果より、de novo型ではLuminal-AR群、Basal-like群が多く、多形腺腫由来型ではHER2-positive群が多いということが判明した。現在、英文投稿中である。 また、唾液腺癌細胞株の樹立に関しては、二次元培養では唾液腺癌細胞が十分に増殖しなかったことから、三次元培養の手法を用いて細胞株樹立を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
唾液腺癌細胞株の樹立に成功していない。現在、条件検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、三次元培養の手法を用いて、培養を試みている。また、関連するセミナーなどにも参加し、培養方法の改善を目指している。
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Causes of Carryover |
唾液腺癌の細胞培養が成功していないため、培養株を用いた実験ができておらず、次年度使用額が生じた。次年度は、樹立された細胞株の継代、および、その細胞株を用いて行う実験に使用する。
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