2019 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部癌に対するCD70を標的とした新規治療法の開発
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18K09310
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
長門 利純 旭川医科大学, 医学部, 講師 (80431419)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | CD70 / CD27 / 頭頸部癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度で行った頭頸部癌細胞株におけるCD70およびCD27の発現解析に引き続き、2019年度は臨床検体におけるCD70およびCD27の発現を解析した。臨床検体における発現解析は、細胞株の発現解析でCD70が陽性であった癌種を優先して施行した。生検および手術材料組織を用いた免疫組織化学染色の結果、検索した癌種のひとつにおいて、腫瘍細胞上のCD70発現が70%以上の患者で陽性であることが明らかとなった。また、この癌種におけるCD70の発現と各種臨床因子との関連を統計学的に解析したところ、複数の臨床因子と有意な相関が認められた。次に、この癌種におけるCD27の発現を免疫組織化学染色にて検討したところ、70%以上の患者で腫瘍周囲に浸潤しているリンパ球に発現が認められた。CD27の発現と各種臨床因子との関連を統計学的に解析したところ、複数の臨床因子と有意な相関が認められた。加えて、患者組織におけるCD70とCD27の発現にも有意な相関関係を認めた。CD70とCD27の結合の結果、CD27陽性細胞から可溶性CD27が分泌されるとの報告があるため、この癌種の患者治療前血清と健常人血清を用いて可溶性CD27値をELISAにて測定した。その結果、患者治療前血清に可溶性CD27の発現を認めるとともに、健常人と比較して有意に高値を示した。さらに、組織中のCD70とCD27の両方が陽性の患者群は、それ以外の患者群と比較して血清中の可溶性CD27値が有意に高いことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞株で細胞表面にCD70の発現が認められた癌種を中心に、頭頸部癌患者から得られた臨床検体を用いてCD70およびCD27の発現解析を行うことが2019年度の大きな目標であった。患者組織材料や血清といった臨床検体の採取が順調に進んだこと、腫瘍細胞にCD70が高発現している頭頸部癌が明らかとなったこと、腫瘍細胞におけるCD70発現と腫瘍周囲に浸潤しているリンパ球におけるCD27発現との間に相関が認められたこと、患者血清中に可溶性CD27の発現が認められたこと、血清中の可溶性CD27の発現が組織中のCD70/27発現と相関を認めたことなど、進めた実験でいくつかの重要な結果を得ることができた。また、2020年度に施行予定のマウスを用いた解析の予備実験も平行して行うことができた。以上より、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
頭頸部癌におけるCD70およびCD27の発現解析を継続して進める。具体的には、二重免疫染色法を用いて、CD27を発現しているリンパ球がどのような種類の細胞なのか(CD8陽性T細胞なのか、CD4陽性T細胞なのか、制御性T細胞なのか、など)を解析する。また、治療効果・予後と組織中のCD70/CD27発現の関連を統計学的に明らかにする。さらに、治療効果・予後と血清中の可溶性CD27値の関連も統計学的に明らかにする。 治療標的としてのCD70の評価も上記と平行して進める。具体的には、CD70陽性頭頸部癌細胞株培養系にマウス抗ヒトCD70抗体とウサギ補体を加えることにより、CDC活性を測定する。また、健常人末梢血単核球(PBMC)よりNK細胞を分離し、同じ培養系にヒトCD27Fc結合蛋白とヒトNK細胞を加えてADCC活性を測定する。補体やNK細胞活性が保存されているヌードマウスもしくはSCIDマウスにヒトCD70陽性頭頸部癌細胞株を皮下移植してXenograftモデルを作製し、マウス抗ヒトCD70抗体を投与して抗腫瘍効果を明らかにする。さらに、可能であれば超免疫不全マウスであるNOGマウスにヒトCD70陽性頭頸部癌細胞株を皮下移植したXenograftモデルも作製し、ヒトCD27Fc結合蛋白を投与後、健常人PBMCより分離したNK細胞を移入し、抗腫瘍効果を明らかにする。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] Expression of CD27 and its soluble form in nasal natural killer/T-cell lymphoma2019
Author(s)
Nagato T, Hayashi R, Harabuchi S, Kumai T, Kishibe K, Takahara M, Nagata M, Yajima Y, Kosaka A, Ohkuri T, Oikawa K, Harabuchi Y, Kobayashi H
Organizer
第78回日本癌学会学術総会