2020 Fiscal Year Research-status Report
CD98hc+/CD44v9+は新たな癌幹細胞・放射線感受性マーカーである
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18K09311
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
川嵜 洋平 秋田大学, 医学部附属病院, 講師 (00644072)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | LAT-1 / CD98 / 頭頸部扁平上皮癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞表面に発現する膜タンパクCD98は重鎖(hc)と軽鎖(lc)からなる。CD98hcは細胞増殖や接着などに関与している。CD98lcはアミノ酸トランスポーターであり、必須アミノ酸を取り込む事で細胞の維持に関与している。頭頸部扁平上皮癌における役割は未だわかっていない。われわれはCD98hcが陽性である細胞は無血清半流動培地上でコロニーを作りやすく、また動物実験でも造腫瘍能が高い事を証明し、癌幹細胞のマーカーになりうる事を明らかにした。癌細胞に多く発現するCD98lcの1つであるLAT1について解析をすすめている。LAT1陽性細胞は、コロニー形成能、浸潤能、遊走能とも陰性細胞に比して高い事がわかった。胆道癌で臨床試験が実施されているLAT阻害薬であるJPH203を投与したところ、コロニー形成能、浸潤能、遊走能とも抑える効果が認められた。当施設で頭頸部扁平上皮癌患者に対して放射線化学療法を施行したものを免疫染色して検討した結果、LAT1が高発現していたケースは、弱陽性または陰性に比して有意に5年生存率、5年無病生存期間とも低かった。頭頸部扁平上皮癌細胞株に60Gyを外照射したところ、LAT1を発現する細胞の割合が多くなった。照射前と同様に陽性細胞はコロニー形成能、浸潤能、遊走能とも陰性細胞よりも亢進していたが、照射後の細胞でもJPH203を使用する事でいずれも抑える事ができた。この事から、LAT1は放射線感受性のマーカーとして使用可能であり、JPH203は頭頸部扁平上皮癌においても非常に有効な治療薬となることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CD98軽鎖の臨床データを出すために倫理委員会を通し、免疫染色を行う時間が必要であった事やその解析に時間を要したためである。
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Strategy for Future Research Activity |
出揃った、基礎実験データと臨床データを検討して国際誌に投稿する。Web開催ではあるが、国内外の学会で積極的にデータを公表し、LAT-1阻害薬の頭頸部扁平上皮癌への適応を目指したい。
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Causes of Carryover |
臨床データをとる必要があり、検体を免疫染色するための倫理委員会での承認待ちと、全検体の染色時間、データの解析に時間を要した。
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