2020 Fiscal Year Research-status Report
蝸牛・前庭感覚上皮発生機序の解析とヒトiPS細胞を用いた難聴モデル作製への応用
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18K09318
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大西 弘恵 京都大学, 医学研究科, 研究員 (50397634)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 正昭 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (10813743)
中川 隆之 京都大学, 医学研究科, 研究員 (50335270)
宮本 達雄 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (40452627)
山本 典生 京都大学, 医学研究科, 准教授 (70378644)
田浦 晶子 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (70515345)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オルガノイド / 内耳 / 蝸牛 / 前庭 / ヒトiPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
難聴研究において難聴発症メカニズムの解析や治療効果を検討するためのヒト蝸牛上皮モデルは大変重要であるがその作製方法はまだ確立されていない。そこで本研究ではヒトiPS細胞から蝸牛感覚上皮細胞を分化誘導する方法を確立するため、蝸牛感覚上皮発生に関わる遺伝子や情報伝達系を調節することにより、遺伝子解析結果を検証するとともに蝸牛型の感覚上皮誘導法を確立する。平成31年度は平成30年度に行うはずだった発生過程の各日齢における内耳各部位の発現解析を行う予定であったが、他の共同研究で内耳の遺伝子発現解析データから蝸牛特異的に発現がみられる遺伝子が複数見つかってきたため、マイクロアレイによる発現解析を見合わせることにし、タンパク質をターゲットとしたマススぺクトロメトリーによる網羅的解析を行うことにした。マイクロアレイの計画と同様の日齢のマウスでレーザーマイクロダイセクション用の凍結切片作成を行い解析待ちである。平成31年度以降に行うはずであった「遺伝子発現解析結果の検証と蝸牛型感覚上皮誘導法の確立」に必要な検証は昨年度始めておりATOH1-GFP hiPSCからの内耳有毛細胞誘導法の安定化を目指した検証を行っている。今年度はCOVID-19のパンデミックにより、所属の京都大学附属病院の規定により様々な制限があったため、分化誘導や他機関での共同研究がほとんど行えなかった為、新規に蝸牛特異的発現が確認された遺伝子群の解析等、発生過程マウスでの発現解析のみをおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成30年度に行うはずのトランスクリプトーム解析で見出したい蝸牛特異的遺伝子は申請者が関与した他の共同研究より明らかになり、これらを分化マーカーとしてiPS細胞由来蝸牛誘導のためのマーカー遺伝子-蛍光タンパク質融合タンパク質を発現するiPS細胞の作製準備を進めている。またトランスクリプトーム解析に変わるプロテオーム解析についてもレーザーマイクロダイセクション用のサンプルは準備されているが、COVID-19流行に伴い進捗せず、研究期間延長申請を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
I. プロテオーム解析による蝸牛化に関与する因子の選定:他の共同研究で内耳の遺伝子発現解析データから蝸牛特異的に発現がみられる遺伝子が複数見つかってきたため、マイクロアレイによる発現解析を見合わせることにし、タンパク質をターゲットとしたマススぺクトロメトリーによる網羅的解析を行うことにした。発生過程マウス各日齢の内耳凍結切片からマイクロダイセクションにより内耳の各部位を回収してマススぺクトロメトリー解析を行い、各部位の比較から蝸牛化に関与する因子を選定する。 II. iPS細胞由来内耳前駆細胞を用いた候補遺伝子の検討:蝸牛特異的遺伝子が複数同定されているので、ヒトiPS細胞由来内耳前駆細胞から内耳有毛細胞誘導過程でそれらの発現がどのようになっているか、また強制発現することによる蝸牛化の可能性について検討する。 III. iPS細胞由来内耳前駆細胞を用いた蝸牛誘導因子の検討:I.の解析で選定された蝸牛化関連因子をiPS細胞からの内耳分化誘導過程で添加し、蝸牛化への可能性について検討する。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染対策による研究規制の恐れが常にあり、分化誘導期間の長い内耳分化誘導を行えず、また共同研究先での研究も進めることが出来なかった為、次年度使用額が生じ、研究期間延長申請を行った。生じた次年度使用額は昨年度行うはずだった内容を今年度実施するために使用する予定である。
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