2019 Fiscal Year Annual Research Report
Toll様受容体リガンドを用いた自然免疫作動型感染症予防・治療薬開発に関する研究
Project/Area Number |
18K09322
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Kagoshima Medical |
Principal Investigator |
馬越 瑞夫 独立行政法人国立病院機構鹿児島医療センター(臨床研究部), 耳鼻咽喉科, 医師 (30596325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永野 広海 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (60613148)
黒野 祐一 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (80153427)
大堀 純一郎 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (90507162)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Poly(I:C) / 自然免疫 / Th17 / 上気道感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Polyinosinic-polycytidylic acid [Poly(I:C)]によるTh17系の免疫誘導と細菌排除作用を実証し、その機序を明らかにする。上気道感染症の防御機構には自然免疫と獲得免疫があり、獲得免疫を利用した感染症予防法として粘膜ワクチンがあるが、自然免疫系のみを利用した上気道感染症予防法や治療薬はない。Poly(I:C)はToll様受容体-3のリガンドであり、自然免疫系を介したアジュバントとして働きTh1系の免疫応答を誘導することが知られている。さらに近年、poly(I:C)はTh17系の免疫応答を誘導することも報告されているが、Th17系の自然免疫応答を介した感染防御機構はいまだ明らかにされていない。我々はこれまで粘膜免疫ワクチンの開発を目的とする研究を行い、その中でPoly(I:C)が鼻腔内の細菌排除にかかわっていることを示唆する現象を見出し、本研究を計画した。これらの機序が明らかになることで、上気道感染症に対する自然免疫系の生体防御機構を利用した新たな感染症予防法や治療薬開発の端緒となると期待される。これらの問題にアプローチするため、本研究では、マウスの鼻腔にpoly(I:C)を投与することにより、マウスの鼻腔細菌クリアランスが上昇するというメカニズムを明らかにすることを目的としている。本研究にて、マウスの鼻腔にPoly(I:C)を投与し、肺炎球菌の鼻腔クリアランスが変化するかを検討し、マウスの鼻腔内細菌クリアランス上昇の再現性を確認した。このことから高用量のpoly(I:C)投与にて鼻腔の細菌クリアランスが更新することが明らかとなった。 また、Poly(I:C)の細菌の生存および増殖能に対する影響を検討するため、Poly(I:C)存在かに細菌培養を行ったが、Poly(I:C)投与にて細菌の増殖能が阻害されることはなかった。 以上より、Poly(I:C)はマウス側の防御機構を誘導することにより、鼻腔内の細菌クリアランスを上昇させていることが推測された。
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