2018 Fiscal Year Research-status Report
経頭蓋電流刺激が雑音下における聴覚誘発脳磁界反応に与える影響
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18K09327
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
岡本 秀彦 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (30588512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木田 哲夫 生理学研究所, システム脳科学研究領域, 特任准教授 (80419861)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脳磁図 / 聴覚 / カクテルパーティ効果 / ヒト脳 / 経頭蓋交流電気刺激 / 聴性誘発脳磁場反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究により、静寂下と雑音下ではヒト聴覚野脳活動が異なっていることが明らかになっている。近年、静寂下で行う純音聴力検査では異常は指摘されないが、雑音下での音の聞き取りが難しい「隠れ難聴」が問題となっている。雑音下での聴覚神経活動を理解することで、隠れ難聴の原因や治療に繋がるのではないかと考えている。雑音下の音声知覚を理解するためには、様々な音により惹起される脳活動を静寂下と雑音下で計測し、比較検討することが必要である。聴力正常の健常人を募集し、雑音下及び静寂下に様々な音を聞かせて誘発される聴覚誘発脳磁場反応を計測した。その結果雑音による影響に違いがある事が分かった。現在この結果をまとめて専門誌に投稿する準備を行っている。 また、先行研究(Witkowski et al, NeuroImage, 2015)に従って、経頭蓋交流電気刺激(tACS)中の脳活動を脳磁図で計測ができるかの予備実験を行った。搬送周波数として脳律動よりはるかに高い周波数である500 Hzを用いて、これを計測したい脳律動周波数である11Hzで振幅変調させながら、脳磁図を測定した。先行研究通りに200Hzのローパスフィルター等を用いて、tACS由来のノイズを除去しようと試みたが、tACS由来の磁場成分はヒト脳由来の誘発脳磁場とは桁違いに大きく信頼性の高いデータは得られなかった。また、tACS刺激により脳磁計のセンサーに不具合も生じたため、tACS刺激中の脳磁場計測は難しいと判断した。現在はこの予備実験結果をもとに実験計画を一部修正する考えである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在脳磁場計測を行っている生理学研究所の技官が急逝したため、実験に用いていた刺激プログラムや装置の一部が使用できなくなり、再度セットアップする必要が生じた。また、経頭蓋交流電気刺激(tACS)中の脳活動を脳磁図で計測する予定であったが、先行研究と同様のセットアップを行ってもtACS由来のノイズが大きく、実験計画を一部修正する必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
経頭蓋交流電気刺激(tACS)中の脳活動を脳磁図で計測する予定であったが、先行研究と同様のセットアップを行ってもtACS由来のノイズが非常に大きく、誘発脳磁場反応の計測は困難であった。そのため、tACSを用いて脳に刺激を与えた後、時間差をつけて脳磁計で脳活動を計測するよう研究計画を変更する予定である。また高額な脳磁計は設置場所や実験機会が限られているため、脳波計を用いて健常者や聴覚障害者の脳活動を計測できないか検討している。
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Causes of Carryover |
所属している国際医療福祉大学医学部において、実験を行うことが出来る部屋がなかったため機材の購入が遅れている。次年度は実験を行う場所が確保できそうなので、機材を購入する予定である。
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Research Products
(8 results)