2019 Fiscal Year Research-status Report
Early detection and risk-factor analysis of headphone/earphone hearing loss by improving the extended high-frequency audiometry
Project/Area Number |
18K09330
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
倉片 憲治 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (90356931)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 騒音性難聴 / イヤホン難聴 / 拡張高周波聴力検査 / オージオメータ / 若年健聴者 / 早期発見 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,若年者の間でポータブル・オーディオ機器等の一層の普及が進み,騒音性難聴(いわゆる,イヤホン難聴)の増加が懸念されている。騒音性難聴の早期発見には,通常の8,000 Hzまでの純音聴力検査に加え,さらに高い周波数(9,000-16,000 Hz)で測定する「拡張高周波聴力検査(extended high-frequency audiometry)」が適用されてきた。しかし,騒音性難聴に対するその検査の有効性評価は,研究によって必ずしも一致していない。 そこで,令和元年度(第2年度)は,拡張高周波聴力検査による騒音性難聴の診断に関する国内外の論文をサーベイし,収集した最近の約100編の論文についてレビューを行った。その結果,次の点が明らかとなった:(1) 拡張高周波域の聴力は騒音性難聴の早期発見のための良い指標となり得るとする研究報告が,依然として多数を占める。(2) 拡張高周波聴力検査の有効性に懐疑的な研究報告では,騒音の性状(衝撃性か連続性か)や評価指標(一過性閾値移動か永久的閾値移動か)によって結果が異なる。(3) 本研究が指摘する,拡張高周波聴力検査用オージオメータに起因する測定上の欠陥(被検者の誤反応を誘発するノイズの発生)が影響したとみられる測定結果を示した研究報告がいくつも存在する。また,それらの研究報告は,その問題の存在を認識せずに誤った結果を報告しているとみられる。 以上のレビューにより,拡張高周波聴力検査が騒音性難聴の早期発見に有効であると見込まれること,及びその効果の検証に当たって,現行の測定法に起因する問題の解決が必要であることが改めて確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年9月から学内の役職を急遽務めることとなり,研究時間の多くを,その業務に割かなければならなくなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウイルスの感染拡大のため,当面,被験者実験の実施が困難になる見込みである。そこで,当初計画した多数の被験者を対象にした大規模測定から,少数の被験者を対象に長期間の聴力変化を追跡する測定へと,計画を変更することとする。
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Causes of Carryover |
学内業務に多くの時間を割くことになり,研究の進捗が遅れているため。令和2年度後期にはその任務が解かれるため,計画の遅れを取り戻せる見込みである。
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