2019 Fiscal Year Research-status Report
めまいリハビリテーションへの応用を目的とした前庭動眼反射の可塑性の検討
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18K09331
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
肥塚 泉 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (10211228)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三上 公志 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (20434409)
宮本 康裕 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (70367340)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 前庭動眼反射 / 半規管動眼反射 / 耳石器動眼反射 / 可塑性 / 視覚前庭矛盾刺激 / tilt suppression |
Outline of Annual Research Achievements |
平面スクリーンに白黒ストライプを投射して視覚前庭矛盾刺激を与えながら、偏垂直軸回転刺激(off-vertical axis rotation: OVAR)条件下にて回転刺激(周波数:0.16Hz,最大角速度:60度/秒)を20分間与えて、垂直軸回転刺激(earth vertical axis rotation: EVAR)条件下およびOVAR条件下における前庭動眼反射(vestibulo-ocular reflex: VORの利得に及ぼす影響について検討を加えた。 視刺激を椅子と同じ速度で椅子の回転と反対方向に動かす×2刺激、白黒のストライプを椅子の2倍の速度で椅子の回転と同方向に動かす-1刺激のいずれにおいてもEVAR条件下では、刺激前後で利得に有意な変化を認めなかった。視覚刺激が直線刺激と認識されたため、ScORに対しては非合目的な刺激と認識された結果と考えられた。一方、OVAR条件下では、×2刺激前後で利得に有意な変化は認めなかったが、-1刺激前後では利得は有意に減少した。OORに対しては、視覚刺激は直線刺激と知覚され合目的な刺激と認識された結果と考えられた。さらにOVAR条件下ではTilt Suppression(TS)が加わるためOORの利得は減少すると予測される。視覚前庭矛盾刺激とTSの両者が刺激後に加わるため、×2刺激後、視覚前庭矛盾刺激によりOORの利得は増加したが、TSによりOORの利得は減少し、両者の変化が打ち消しあったため×2刺激前後において有意な変化を認めなかったと考えられた.-1刺激後においては、視覚前庭矛盾刺激によりOORの利得は減少し、さらにTSによりOORの利得はさらに減少したため、刺激前後で利得は有意に減少したと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行研究(平成27年度科学研究費補助金(基盤研究(C))では、白黒ストライプを平面スクリーンに投射して視刺激を加えることにより、“直線的”な視覚刺激とし、これが半規管動眼反射に可塑性を引き起こすかどうかについて検討を加えた。その結果、直線的な視覚刺激で刺激すると、半規管動眼反射の利得には変化を認めなかった。この研究により、視覚刺激において前庭動眼反射のモダリティーが依存することを確認することができた(四戸達也、他:平面スクリーンを用いた視覚刺激が前庭動眼反射に及ぼす影響.耳鼻臨 113: 197-201, 2020。 本年度は、視覚刺激における前庭動眼反射のモダリティー依存をさらに確認することを目的に、直線的な視覚刺激を加えながらOVARで回転刺激を連続して加え、耳石器動眼反射に可塑性が生じるかどうかについて検討を加えた。その結果、「研究実績の概要」に記したような結果が得られその結果を論文化した(望月文博、他:偏垂直軸回転(off-vertical axis rotation: OVAR)条件下における平面スクリーンを用いた視覚刺激が半規管-動眼反射および耳石-動眼反射におよぼす影響.印刷中)。以上より、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
耳石器動眼反射に可塑的変化を引き起こしたのち、半規管眼反射にも可塑的変化が生じるのかどうかを、垂直軸回転刺激(earth vertical axis rotation: EVAR)を用いて検討している。その結果、半規管動眼反射に可塑的変化が起こると、耳石器動眼反射にも同様に可塑的変化が生じることを報告している(koizuka I, et al, Auris Nasus Larynx 2000; 27: 89-93 )。 今後は、既設の円形スクリーンに白黒ストライプを投射して視刺激を加えながらEVARで回転刺激を連続して加えて、半規管動眼反射に可塑性変化を引き起こしたのち、耳石器動眼反射にも可塑性が生じるかどうかを、偏垂直軸回転刺激(off-vertical axis rotation: OVAR)を用いて検討を加える。次に、直線的な視覚刺激(平面スクリーンに白黒ストライプを投射)により耳石器動眼反射に可塑性が生じた場合、半規管眼反射にも可塑的変化が生じるのかどうかを、EVARを用いて検討する。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] 偏垂直軸回転(off-vertical axis rotation:OVAR)条件下における平面スクリーンを用いた視覚刺激が半規管-動眼反射および耳石-動眼反射におよぼす影響2020
Author(s)
望月文博,宮本康裕,笹野恭之,荒井光太郎,西本寛志,四戸達也,稲垣太朗,大原章裕,鈴木香,三上公志,谷口雄一郎,肥塚泉
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Journal Title
Equil Res
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
Peer Reviewed
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