2018 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部癌heterogeneityを引き起こす微小環境のオーム解析
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18K09351
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
畠山 博充 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 准教授 (10455652)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | hetrogeneity / 頭頸部癌 / 扁平上皮癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
頭頸部扁平上皮癌サンプルの収集を行っている。 予後の良い表在癌のサンプルはすで100症例ほどとなり、解析な可能なサンプル量のあるものとないものの識別を行っている。 また予後不良な進行がん、HPV陰性癌のサンプルも比較対象として収集している。HPV陽性癌で上皮間葉転換を認めたのは13%だったが、HPV陰性癌においては35%に間葉転換と考えるべき部分的に上皮系マーカーであるE-cadherin発現の低下を認め、発現にheterogeneityが見られた症例の予後は不良であった。 近年の論文では新たなpartial EMTのマーカーとなる分子がいくつか同定されており、これまでのE-cadherinやVimentinといったマーカーに代わるマーカーを用いて、その予後や放射線化学療法感受性などを引き続き検討する。これには近年発展の著しい、ディープラーニング技術をもちいてできるだけ客観視できるようなシステムを導入する。さらに本研究では、従来培ったバイオインフォマティクス技術を駆使し、トランスクリプトーム、エクソーム、およびプロテオーム解析技術を導入してその頭頸部癌腫瘍内heterogeneityの分子群の解析を行う。これにより頭頸部癌のheterogeneityの発生メカニズムが解明されれば治療抵抗性に関する極めて有用な基礎的情報を提供するとともに、上皮間葉転換を加えた従来のTNM分類だけによることのない個々人に最も適した治療の施行が期待できる。更に腫瘍組織周囲の非がん組織の解析をあわせて行い、各腫瘍蜂巣への増殖と抑制、さらに上皮間葉転換への影響を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サンプル収集は良好である。 免疫染色後のサンプルはディープラーニングによる画像解析を行う予定だが、数社の成績を見て分析先を検討する。 またサンプル量の多いものからはDNA,プロテインをそれぞれ抽出し、シークエンス並びにプロテオーム解析を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
バイオフォマティクスアプローチによって上皮間葉転換・腫瘍免疫関連遺伝子、シグナル伝達に関連した分子群を抽出し、その発現によってクラスター解析を行う。同定された分子群のシグナル系相互のクロストークへの影響は頭頸部癌細胞株を用いてトランスフェクションおよびノックダウンを行い、その上下流にある分子への影響を検証する。周囲間葉組織においては腫瘍免疫関連遺伝子群を用いたクラスター解析を行い、同一腫瘍組織内での癌蜂巣との発現比較、各症例間での比較解析を行う。
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Causes of Carryover |
実際の研究に使用するサンプルの保存を当院病理科が負担していただいたため、そちらへの使用料が不必要になった。 バイオバンク使用料が不必要になった部分に関しては次年度の免疫染色とその画像診断への対価に充当する予定である。
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