2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K09364
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
安田 俊平 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 主任研究員 (50534012)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 難聴 / ゲノムマッピング / ABR / DPOAE |
Outline of Annual Research Achievements |
ターゲットとなる遺伝子の機能を推定するため、(BALB/cByJ x BALB/cA) および(BALB/cA x BALB/cByJ) のF1個体について、32 kHz音に対するABR閾値および4、5.7、8、11.3、16、22.6および32 kHz音に対するDPOAE値を経時的に測定し、解析を行った。その結果、 (BALB/cByJ x BALB/cA) F1個体のオスは他のF1個体と比較して6~12週齢でABR閾値が有意に小さくなり、その傾向は4ヶ月齢まで継続した。しかしながら、そのABR閾値は、BALB/cByJとBALB/cAの中間値を示した。この結果から、BALB/cByJのX染色体上に加齢性難聴発症感受性遺伝子が位置していると考えられると同時に、感受性遺伝子が複数存在し、常染色体上にも存在している可能性が示唆された。 F2マッピングを実施するため、(BALB/cByJ x BALB/cA) のF2個体を作製し、左右それぞれの耳の聴力を32 kHz音に対するABR閾値で測定した。これまでに、3ヶ月齢の個体でメス100個体196耳、オス90個体173耳、合計190個体369耳の測定を実施した。また、8週齢の個体で4、5.7、8、11.3、16、22.6および32 kHz音に対するDPOAE値を測定した。こちらは、これまでにメス81個体162耳、オス72個体144耳、合計153個体306耳を測定した。 同様に、F2マッピングを実施するため、X染色体上に15 Mb毎に多型マーカーをデザインした。各領域は、BALB/cByJ とBALB/cA間で6-bp以上のindelを含んでおり、アガロースゲル電気泳動のみでタイピングが可能になるよう設計した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度内に(BALB/cByJ x BALB/cA) のF2個体について、オスメス合計200個体以上のABR閾値およびDPOAE値の計測を目標としていたが、使用可能なケージ数の制限により、充分な数の交配および飼育を行うことが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、(BALB/cByJ x BALB/cA) のF2個体を作製し、ABR閾値およびDPOAE値の測定を継続して行う。目標個体数は、ABRがオス10個体、DPOAEがメス19個体、オス28個体である。 シングルセル解析の準備を行う。使用する個体は、(BALB/cByJ x BALB/cA) のF1の6~8週齢メス個体を予定しているが、特に高音を感受する有毛細胞は蝸牛の基底部に位置し、解剖しての摘出が困難である可能性がある。その場合は、若齢個体を使用することとする。X染色体は、BALB/cByJ由来かBALB/cA由来のどちらかがランダムに不活化されており、それぞれの細胞レベルでの遺伝子発現の比較が可能である。 常染色体上のマッピング用のマーカーを作製する。アガロースゲル電気泳動のみで識別可能なindelまたは制限酵素処理可能なSNPをターゲットとしてデザインする。各染色体に3ヶ所を目標とし、マッピングの結果候補遺伝子が位置していると推測された染色体ではさらに詳細なマッピング用のマーカーを作製することとする。 他のバルブ亜系統の聴力を調査し、BALB/cByJおよびBALB/cAと聴力およびゲノム情報を比較する。BALB/cAn、BALB/cCrおよびBALB/cJを予定しているが、可能ならさらに亜系統を追加する。マッピング用のマーカーを用いてゲノム比較を行い、聴力との関連解析を実施する。
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Causes of Carryover |
作製できたF2マウスの個体数が予定より少なかった。2019年度は、2019年度分の実験に加えて、引き続きF2マウスを作製し、その個体を実験に使用する。
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