2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K09364
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
安田 俊平 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 主任研究員 (50534012)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 加齢性難聴 / ゲノムマッピング / ABR / マウス / 遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
X染色体上のindel多型マーカーは、BALB/cAとBALB/cByJのX染色体の配列を比較することにより、20.4 Mb、59.6 Mb、129.1 Mb、134.8 Mbおよび151.9 Mbの位置に樹立した。次に、BALB/cByJ メスとBALB/cAオスから樹立したF2個体合計210個体(オスメス共に105個体)の聴力は、3ヶ月齢で32 kHz音に対するABR閾値を測定することにより評価した。これらのF2個体のABR閾値と、indel多型マーカーの遺伝子型間の関連について解析した結果、遺伝子型間ではABR閾値に有意差は認められなかった。そこで、F2オスの難聴個体(ABR閾値80以上)および正常個体(ABR閾値40以下)のみを用いて、上記のindelマーカーおよび71.6 Mb、104.3 Mbおよび154.9 MbのSNP多型マーカーを使用してABR閾値と遺伝子型間の関連解析を実施したところ、59.6~134.8 Mbの領域にターゲット遺伝子が位置する事が推察された。しかしながら、この領域内でアミノ酸置換が存在するタンパク質は認められなかったことから、難聴発症に関わっている変異はタンパク質の構造ではなく発現量などに影響している可能性が示唆された。 マウスで既報である主要加齢性難聴発症責任変異はCdh23c.753G>Aであり、調査の結果BALB/cAおよびBALB/cByJともにこの変異を保有していた。この変異は他の聴覚関連遺伝子の変異と相互作用することが知られているため、今回のターゲット遺伝子との相互作用も予想される。そこで、ゲノム編集によりCdh23c.753A>Gノックインを試み、BALB/cAではKIに成功したため、現在系統化を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの経時的な聴力測定の結果、X染色体以外に位置する遺伝子の影響によると考えられる亜系統間聴力差が比較的大きいことが推測された。この状況が、X染色体上のマッピングを困難にしていると考えられる。また、シングルセル解析のための実験手法の取得が遅れており、まだ実施には到っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの経時的な聴力測定の結果、X染色体以外の染色体に位置する遺伝子の影響によると考えられる亜系統間聴力差が比較的大きいことが推測された。この状況が、X染色体上のマッピングを困難にしていると考えられる。また、シングルセル解析のための実験手法の取得が遅れており、まだ実施には到っていない。 X 染色体以外に位置する遺伝子の影響によると考えられる亜系統間聴力差が比較的大きく、その影響を回避するためにはさらに多くのF2個体が必要である。X染色体マッピングは、オスのみをターゲットとして、難聴個体と正常個体のみを集め、さらにABR閾値と遺伝子型の関連解析データを積み重ねる予定である。 Cdh23c.753A>Gノックインについては、これまでにBALB/cAへのノックインが成功している。現在は、この成功個体を基に、ノックイン系統を樹立中である。BALB/cByJについては、BALB/cAと同様にゲノム編集を実施し、KI系統の樹立を試みる。 シングルセル解析は、成獣では困難を伴うため、幼獣個体を用いて実施することとする。各亜系統の生後0日齢個体から蝸牛を摘出し、基底部のみを集めて細胞の分離と解析を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
ゲノム編集マウスの誕生個体数が予想より少なく、DNAシーケンス用の経費が浮いたため。今年度誕生予定のゲノム編集個体のDNAシーケンスに使用予定である。
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