2021 Fiscal Year Research-status Report
テネイシンXーTRPチャネル系を標的とした神経麻痺性角膜症の新規治療戦略の確立
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18K09419
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
住岡 孝吉 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (40433362)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雑賀 司珠也 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40254544)
岡田 由香 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50264891)
山中 修 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (50254545)
平井 秀一 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (80228759)
松本 健一 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (30202328)
小出 隆規 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70322253)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | テネイシンX / 角膜上皮創傷治癒 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】角膜上皮創傷治癒過程でテネイシンXの役割を明らかにすること。 【方法】野生型(Wild Tipe:WT)マウスおよびテネイシンX欠失(Knock-out:KO)マウスを使用した。上皮欠損後の角膜上皮の治癒は、遺伝子およびタンパク質の発現レベルで評価された。創傷治癒に関連するメディエーターおよび炎症性細胞の浸潤は、組織学、免疫組織化学、およびリアルタイムRT-PCRによって検出された。 【結果】テネイシンXは、上皮欠損後のWT角膜上皮でアップレギュレートされた。テネイシンXの欠失は、WT組織の反応と比較して、上皮欠損の治癒を遅らせ、好中球の創傷周辺への浸潤を加速させた。Interleukin-6(IL-6)、Transforming growth factor-β(TGF-β)1、Matrix metalloproteinase(MMP)の発現はテネイシンX欠失による影響を受けなかった。マロンジアルデヒドの顕著な蓄積が、WTと比較してKOの治癒上皮で観察された。抗体の全身投与によって誘発された好中球減少症は、上皮細胞のマロンジアルデヒドレベルの低下とともに、KO角膜の上皮治癒の障害をレスキューした。また抗酸化物質であるN-アセチル-L-システイン(NAC)の阻害により、マロンジアルデヒドの組織レベルの低下を伴って、KO角膜の上皮治癒の障害をレスキューした。 【結論】テネイシンX欠失は、マウスの角膜上皮創傷治癒を遅延させ、創面切除に対する好中球性の炎症反応を増加させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、TNX欠失マウスが生まれ次第順次実験を遂行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究よりテネイシンX欠失マウスでは好中球性の炎症反応増加による角膜上皮創傷治癒の遅延が確認された。テネイシンXはエーラス・ダンロス症候群の原因遺伝子の一つでもあるため、テネイシンX欠失マウスにおいて角膜実質のコラーゲン線維が疎である可能性があり、テネイシンX欠失マウスでは角膜の知覚も低下することから、様々な要因が複合して角膜実質や角膜内皮においても創傷治癒の遅延が予想される。今後、角膜実質や角膜内皮においても検討検討予定である。
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Causes of Carryover |
実験計画遂行にあたり当教室の在庫試薬を使用できたため計画より使用額が少なかった。
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Research Products
(2 results)