2018 Fiscal Year Research-status Report
iPS細胞3次元網膜組織培養を用いた老化によるミトコンドリア障害の解析
Project/Area Number |
18K09423
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
尾里 納美 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 研究員 (60547454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 洋子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (90265885)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 老化 / ミトコンドリア / 網膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
現代の高齢化社会において健康長寿は重要な社会問題であり、老化とともに進行する加齢黄斑変性等の失明疾患を含めた老化による視機能低下に対する新規介入法が切望される。一方、老化の一因にDNA損傷の蓄積(Sinclair et al., Cell 2008)やミトコンドリアの制御異常(Fang et al. Cell 2014) などがあるが、それらの関連には未知の部分が多い。DNAの修復にはエネルギーが必要であり、DNA損傷とエネルギーを産生するミトコンドリアの関連を解析することは重要である。本研究では、タモキシフェンでDNA損傷を誘発可能なマウスiPS細胞を、3次元組織培養により網膜組織に分化誘導し、DNA損傷を誘発した際の網膜の変化をミトコンドリアに着目して分子レベルで解析する研究である。そのために本研究では、共同研究者のSinclair教授が開発したタモキシフェン存在下でDNA二本鎖切断を引き起こすI-PpoI endonucleaseを発現するトランスジェニックマウス(Inducible Changes in the Epigenome mouse; ICE マウス)のiPS細胞を用いる。また、3次元網膜組織培養の方法には、神戸理化学研究所で開発された方法(Eiraku, Sasai et al., Nature 2011)がある。申請者らはこの手法を踏襲して、3次元組織培養を行っている。そして、将来の臓器・組織老化に対する新規治療介入法の開発につなげるための研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同研究者のSinclair教授が開発したタモキシフェン存在下でDNA二本鎖切断を引き起こすI-PpoI endonucleaseを発現するトランスジェニックマウス(Inducible Changes in the Epigenome mouse; ICE マウス)のiPS細胞を入手し、これを用いて3次元網膜組織培養の方法には、神戸理化学研究所で開発された方法(Eiraku, Sasai et al., Nature 2011)を行った。また、タモキシフェンを添加することでDNA二本鎖切断を誘導する条件検討をしている。培養法については研究協力者の本間耕平特任助教の指導を受けていることから、研究は予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
タモキシフェンを添加することでDNA二本鎖切断を誘導する条件を決定し、網膜組織培養における表現型の解析を行う方策である。そのために継続的に培養するとともに、動物の網膜を用いて染色等の解析系の立ち上げも行う方策である。
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Causes of Carryover |
3次元培養の立ち上げが効率的に行えたことにより、初期段階にかかる費用を抑えることが出来たため次年度使用額が生じた。この次年度使用額は、翌年度分と合わせて、組織染色に使用する抗体の購入や動物の購入や飼育に使用する。
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Research Products
(1 results)