2019 Fiscal Year Research-status Report
視神経軸索障害におけるオートファジーを含む代謝処理機能不全の機構解明
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18K09427
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
北岡 康史 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 教授 (10367352)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オートファジー / TNF / 視神経 / p62 / Sirtuin / SIRT1 |
Outline of Annual Research Achievements |
Sirtuin 1 (SIRT1)は抗老化遺伝子であり、食事制限や運動によって発現が上昇することが知られている。今回SIRT1を上昇させることで視神経軸索保護効果があるのか、また、その下流の機序は何かを検討した。ラットTNF誘発視神経障害モデルにおいてSIRT1 activatorであるSRT2104を硝子体投与した。10-6Mから10-4M相当量を検討した結果、10-5Mおよび10-4MX2ulの相当量において有意に視神経軸索保護効果を示した。TNF群では視神経のp62の発現量が有意に上昇し、この上昇をSRT2104は有意に抑制した。またSRT2104は単独投与によりbasal levelのp62も減少させた。さらにTNF群に比して、TNF+SRT2104投与群ではLC3-II蛋白発現量が有意に上昇した。付け加えるとSRT2104単独投与群でも視神経のLC3-II蛋白量をbasal levelより有意に上昇させた。SIRT1の視神経での蛋白量も検討した。TNF群ではコントロール群に比して有意な変化は認められなかった。TNF+SRT2104投与群ではTNF群に比して有意にSIRT1蛋白レベルが上昇した。またSRT2104単独投与により、コントロール群に比して有意に視神経のSIRT1蛋白量は上昇した。過去の視神経損傷モデルでの報告ではSIRT1発現量が減少したとされるが、今回のTNFモデルではSIRT1発現量に変化を認めなかった。おそらく視神経の損傷度合いが視神経挫滅モデルよりはTNFモデルの方がマイルドなことに起因すると推測された。これらにより、SRT2104はSIRT1発現を上昇させ、その下流のオートファジー機構を活性化し、軸索保護に関与していることが示唆された。過去にはSRT2104の活性酸素抑制効果やp53の抑制効果が報告されているが、今回は新しい機序の発見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SRT2104に関しては上記の内容で論文化できた。2019年のARVOにおいてはNicotinamide Ribosideに関して、TNFによるp62の上昇をNicotinamide R1bosideが有意に抑制したことを発表し、さらに軸索保護効果も確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
Nicotinamide Ribosideについて、その下流の変換酵素を調べ、論文化する予定である。
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Causes of Carryover |
抗体は以前から使用していたものを使用したため節約できた。試薬もexpireしない程度に買い足しを行っており、最小限に節約できた。しかし2020年度は新しい分子ターゲットの抗体を複数購入予定であり、計画通りに実行できると考えている。
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Research Products
(5 results)