2019 Fiscal Year Research-status Report
チャネルロドプシンの機能亢進とそのメカニズムの解明
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18K09433
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
田端 希多子 岩手大学, 理工学部, 特任准教授 (80714576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 浩史 岩手大学, 理工学部, 教授 (40302088)
菅野 江里子 岩手大学, 理工学部, 准教授 (70375210)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 眼生理学 / 遺伝子治療 / 網膜色素変性症 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究室で開発した改変型緑藻類ボルボックス由来チャネルロドプシン-1遺伝子(mVChR1)は、視細胞変性が原因で失明に至った網膜の神経節細胞に導入することにより、神経節細胞自体に光感受能を付加させ視覚を回復させることが、電気生理学的にも行動学試験的にも確認されている。現在は製薬企業において遺伝子治療臨床試験の準備段階にあるのだが、その光感受能は生来のものと比較すると低いということが問題点となっている。この原因の一つにmVChR1の発色団であるオールトランスレチナールの供給が不十分である可能性が挙げられる。本来の網膜におけるビジュアルサイクルは当然のごとく視細胞内の酵素を一部利用することから、視細胞変性を起こした網膜においてはmVChR1へのレチナールの供給源が不明であるため、当該年度はRNA-seqによる網羅的遺伝子発現解析を行った。これによりmVChR1投与網膜と未投与網膜との遺伝子発現の違いを検討してみると、mVChR1投与網膜ではビジュアルサイクルに関与する酵素遺伝子および輸送タンパク遺伝子の一部が、未投与網膜に比べ増加していた。これらの比較には視細胞変性動物を使用しており視細胞は存在しないため、網膜への積極的なレチナール供給は必要がないと考えられる。しかしながらmVChR1投与網膜においては、これら遺伝子群が増加しており、mVChR1へのレチナール供給を意味していると示唆される。また視細胞が変性消失していることから、これら増加遺伝子群は主に網膜色素上皮細胞およびミュラー細胞が有しているものと推察できる。 さらに、視細胞変性動物では視細胞変性後に神経節細胞も徐々に減少していくことが報告されているが、我々はオプトジェネティクスタンパク質を発現させた神経節細胞では生存が促されていることを確認しており、この側面からもレチナール供給の経路の解明は重要性を持つと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで行ってきた研究から、ビタミンAの添加により、オプトジェネティクスタンパク質の光感受性亢進が可能であること、通常食摂取動物においてはオプトジェネティクスタンパク質の高照度照射実験においてもビタミンAの枯渇は起きないことが示唆された。そこで当該年度は神経節細胞に発現させたオプトジェネティクスタンパク質が機能するために行われているはずのレチナール代謝経路の解明を目的として、RNA-Seqを用い網羅的に遺伝子解析を行った。これにより、ビジュアルサイクルの一部の酵素遺伝子および輸送タンパク遺伝子が増加しているという結果が得られ、神経節細胞に発現したオプトジェネティクスタンパク質へのレチナール供給が行われていることが示唆された。またその他、摘出網膜からのビタミンAの測定も検討を始めた。 一部計画の変更があったものの、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度は一部計画を変更して、ビタミンAの有効濃度よりも先にレチナール供給の経路についての検討を行った。R2年度は、ここで得られた結果から更に免疫組織学的試験およびウエスタンブロッティングを行い、レチナール供給の経路の詳細を解明していく予定である。 加えて先送りにしていた計画であるビタミンAのオプトジェネティクスにおける有効濃度を検討する。mVChR1を発現させた遺伝盲ラットを用い、ビタミンA欠乏状態、投与後における視覚誘発電位の測定、オプトモーターによる行動学試験、網膜のビタミンA量の測定を行い、決定したいと考えている。更にはビタミンAの反復投与によって光感受性の増大が持続するかを同様に検討し、副作用についても調べる。
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Causes of Carryover |
(理由)本年度は動物実験を既存の機器を用い行ったため、実験費用に未使用分が発生した。また、実験において、多少の試行錯誤があったものの、おおむね予定通り終了することができた。そのため、実験費用に未使用分が発生した。 (使用計画)次年度は、各チャネルロドプシンを発現させた網膜でのビタミンA量を測定することを予定しており、測定に係わる費用が発生する。また、ビタミンA欠乏の動物モデルを作製し、検討を行うための飼育消耗品および設備維持費用が発生する。ビタミンAの投与が連日必要であること、及び動物飼育が長期に渡る可能性から、これらに対する人件費が発生する。
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Research Products
(5 results)