2019 Fiscal Year Research-status Report
線維化抑制と神経保護作用を標的とした加齢性黄斑変性症に対する治療法の開発
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18K09455
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
畑中 宏樹 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (80368050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
外園 千恵 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30216585)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 加齢黄斑変性症 / 血管新生 / 網膜色素上皮細胞 / エピジェネティック制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
OBP801における血管新生阻害効果の検証とその作用機序の解明:現在主流の加齢性黄斑変性症(AMD)の治療法は脈絡膜血管新生(CNV)抑制を目的とした抗VEGF治療である。昨年、OBP801のヒト臍静脈由来細胞(HUVEC)に対する直接的な血管形成阻害効果が微弱であることを報告した。OBP801は抗VEGF薬と標的が異なる為、両者の併用により効果向上が期待できる。今回、OBP801と併用する抗VEGF剤としてアイリーアを用い併用効果を検討した。その結果、血管抑制効果の向上は見られたが、相乗的効果はなく相加的効果の確認にとどまった。 AMD患者網膜下増殖組織は増殖・遊走したマクロファージと網膜色素上皮細胞(RPE)が混在しており、病態形成にはマクロファージとRPEの相互作用の関与が想定される。そこで、RPEとマクロファージの共培養系でAMD病態のin vitro再構築を試みた。炎症性サイトカイン (IL-6, MCP-1等)とともに、RPEからのVEGF産生増強、血管新生抑制因子PEDF産生抑制が認められた。 CNV形成にRPEからのExosomeが関与に鑑み (J. Cell. Mol. Med. Vol 20, No 8, 2016)。我々の共培養系でもExosome産生増強をナノサイトに因る粒子数計測やWestern blotによるExosomeマーカー(CD63, CD9, CD81)の発現解析で確認された。このExosome の血管新生促進作用は未確認である。RPEとマクロファージの細胞間相互作用によるCNV形成におけるOBP801の効果を今後検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
HUVECを用いたコンスタントな血管形成誘導系の条件検討に時間がかかり、研究の進捗にやや遅れが出ている。しかし、当初の計画内容に無いExosomeの関与といった視点が加わるなど、新しい展開も見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
① OBP801における線維化抑制の分子メカニズムを解明する。OBP801の持つ包括的な遺伝子発現抑制作用と、組織線維化抑制効果の関係の検証についても進展は見られつつある。AMD病態で働く複数の遺伝子をsiRNA等により同時または別箇に阻害を行いして、線維化阻害効果の検証を行い、遺伝子発現制御と線維化抑制作用の因果関係を立証する。また、② 包括的に発現が抑制される遺伝子群が共通のsignal系を介する可能性を考慮し、上流シグナル系の絞り込みを行い、OBP801による薬理効果の作用点を明確化する。③ 血管新生阻害効果の検証とその作用機序の解明については、マクロファージとRPEの共培養におけるRPEの機能変化の分子機序の解明とOBP801の効果を確認する。また、Exosomeの血管形成への関与を検証し、関与が認められ次第内包する血管新生関連因子のプロファイリングを行い、それらに対するOBP801の影響を検証する。
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Causes of Carryover |
実験条件の検討に時間がかかり当初の予定にあった実験が次年度に持ち越されてしまったため。
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