2018 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of the role of AMPK in the retina for the development of a novel treatment for atrophic age-related macular degeneration
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18K09457
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
平沢 学 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 訪問講師 (80365345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 洋子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (90265885)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 網膜 / 加齢黄斑変性 / 老化 / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢黄斑変性(Age-related macular degeneration; AMD)は国内中途失明原因の第4位、米国では第1位を占める疾患である。現代は高齢化社会であり、患者は増加している。中でも、現時点では治療法のない萎縮型AMDの発症には光暴露が発症リスク因子として着目される。網膜は光を受容し視覚を形成するため、エネルギー代謝が非常に盛んであり、過剰の光に暴露した網膜では、酸化ストレスが亢進し、網膜視細胞死が引き起こされ、萎縮型網膜変性をきたす。そこで我々は、光暴露モデルマウスにおける網膜視細胞死のメカニズムを、エネルギー代謝の調節機構である5' AMP-activated protein kinase (AMPK)に着目して解析している。そのために、光暴露マウスモデルを作製し、AMPK活性化剤である5-aminoimidazole-4-carboxamide-1-β-D-ribofuranoside (AICAR)により介入して、網膜変性を抑制することを、網膜電図を用いて解析した。全身臓器・組織の中でも網膜はエネルギー代謝が盛んであることが知られ (Chertov et al. J Biol Chem 2011)、ATP産生には酸素が重要であり、ヒト網膜では10秒間の阻血でも視機能が失われることが知られること、エネルギー代謝調節の鍵分子には、AMPKがあり、網膜でのAMPKの重要性は明らかであるが、光暴露との関連は不明であることから、この分子に着目している。本研究により、萎縮型AMDの発症メカニズムの一端が明らかにされることで、将来的に現在治療法のない萎縮型AMDの発症や進行に対する新規予防治療の開発につなげる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、アルビノであるBalb/cマウスを12時間の暗順応直後に、研究室内に確保されている専用光照射ケージに入れ、3000ルクスの光源に1時間暴露することで光暴露マウスモデルを作製した。そして通常状態に戻して飼育し、光暴露後4日目に、研究室に常備される器械を用いて網膜電図(Electroretinogram; ERG)により視機能を測定した。AICARは腹腔内投与とし、投与量は、申請者らが既に報告した、網膜炎症モデルにおける神経保護効果を得られる量(Kamoshita, Ozawa et al. PLoS One 2014)を用いた。すなわち、光暴露マウスモデルにおいてはAICAR投与によりERG反応の低下が抑制されるかを解析した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、この光暴露マウスモデルにおけるAICARの視機能保護効果のメカニズムを組織学的、分子生物学的に解析する。そのためにAICAR、もしくはコントロール溶媒を投与し光暴露をした動物および光暴露なしの動物を作製し、網膜切片を解析する。本モデルでは、光暴露後2日目には、視細胞のアポトーシスが亢進し、4日目には網膜視細胞層の菲薄化及び視細胞外節の短縮が明らかである (Osada Ozawa et al. PLoS One 2017)。そこで、これらの時点のサンプルを作製してTUNEL assay、ヘマトキシリンエオジン染色・ロドプシン免疫染色を行い解析する。また、網膜内のエネルギー状態については、光暴露モデルマウスにおけるAICAR投与時の細胞内呼吸関連酵素およびATPを解析する方策である。プライムテック社の細胞外フラックスアナライザーを用いた酸素消費度の測定も行う方策である。
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Causes of Carryover |
過去の実験に基づき、条件検討等に時間を費やすことなく、効率的に実験を進める事ができたために次年度使用額が生じた。この金額は、翌年度分として請求した金額と合わせて、免疫染色のための抗体や、ATP解析、フラックスアナライザーの試薬等を購入する。
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