2019 Fiscal Year Research-status Report
優性遺伝性網膜ジストロフィiPS細胞を用いた遺伝子編集治療モデルの検討
Project/Area Number |
18K09458
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
村上 晶 順天堂大学, 医学部, 教授 (90157743)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 英介 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (60568210)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 網膜色素変性 / 黄斑ジストロフィ / RP1 / ロドプシン / CRX / 遺伝子編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)GUANYLATE CYCLASE 2D(GUCY2D)にバリアントを持つ錐体ジストロフィをきたす家系においては、その発症はdominant-negative 効果によるものと推定されている。我々は遺伝学的解析から、本症と診断した患者の協力を得て血球細胞よりiPS細胞の作成を行ない、遺伝子編集による治療の可能性を探索する研究を開始した。 疾患原因となっている遺伝子そのものの発現をバリアント近傍の遺伝多型を利用してアレル特異的に発現を抑制する系を確立した。GUCY2D は網膜視細胞特異的な発現を持つ遺伝子であるため、iPS細胞を網膜細胞に分化誘導を行い、病的アレルの遺伝子発現が抑制されていることを確認したした。樹立したGUCY2Dバリアントを有する疾患iPS細胞と遺伝子編集を行った細胞についてを比較てしてレスキュー効果が得られているか、また細胞内カルシウムの測定、 cGMP 濃度の測定、RNAシークエンスを行なっているが、まだ安定した測定結果が得られていないため現在、培養条件などを検討している。 2)dominant-negative 効果により細胞障害をきたす バリアントを持つ症例の探索を行った。 黄斑ジストロフィと網膜色素変性(桿体錐体ジストロフィ)120例について、次世代シークエンス法による130候補遺伝子のターゲットシークエンス解析を追加した。網膜色素変性で30%、黄斑ジストロフィで50%の症例について、原因となる遺伝子の変化が同定された。これらのうち、常染色体優勢遺伝(AD)を示す網膜色素変性においてRho, RP1についてdominant-negative効果によると推定される症例がそれぞれ3例と2例の合わせて5例。また 黄斑ジストロフィにおいてはGUCY2Dに新たに1例、さらにPRPH2,RP1、CRXのバリアントを持つ症例2例をづつ計6例を発見することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
熟練した研究助手の退職に伴い、候補となる症例のiPS細胞の作成に遅れが出ている。また、網膜オルガノイドの作成を目指しているが、安定した作成とその解析が進んでいない。生化学的な解析手法については遺伝子ごとに立ち上げる必要がるため多くの時間を要することになった。その問題を解決するため、外部の研究者の助言を求めるとともRNA解析を主体に行うことにする。
|
Strategy for Future Research Activity |
網膜オルガノイドの作成においては、改めて手法の見直しを行う 生化学的解析に困難があるため、RNAシークエンスを行い、細胞死関連の遺伝子の発現のパターンに変化が見られているかを確認していく。最初に手掛けたGUCY2D 関連の疾患以外での実験系についても検討をする
|
Causes of Carryover |
細胞分化の実験に遅れがあり、その経費が残った形になった。 次年度RNAシークエンス解析費用に充てる。
|