2019 Fiscal Year Research-status Report
ケロイド発生過程における脂肪細胞と線維芽細胞との関連性の解明
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18K09474
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
長尾 宗朝 東北大学, 大学病院, 助教 (00364349)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ケロイド / 肥厚性瘢痕 / 創傷治癒 / 線維芽細胞 / 脂肪細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
いわゆる真性ケロイドは多発性に醜状瘢痕、疼痛、掻痒を伴い、患者は長期的に通院を余儀なくされ、著しくQOLが落ちる。ケロイドの増悪、進展様式に関するメカニズムは、機械的刺激などの研究(Ogawa.R; Wound Rpair Regene,2011ほか)で徐々に解明されてきいる。しかしながら同じような刺激が加わっても増悪する症例からそうでない症例まで様々である。 その違いに関しては、瘢痕治癒過程における分子レベルの異常が考えられる。ここで、これまでに未分化の線維芽細胞は、前脂肪細胞と呼ばれることが知られている(Alessi MC.et.al. Horm Metab Res,2000ほか)。つまり正常であれば脂肪細胞に置き換わるはずの前駆細胞が、異常な線維芽細胞に形質転換していくことで線維増殖へのスパイラルに陥るのが一つの原因とも考えられ、今回われわれは、そのようなケロイド増悪症例に対して、その発生段階つまりケロイド発生過程における脂肪細胞と線維芽細胞との関連性の解明をすべく、実験を計画した。 本研究の目的は、ケロイド線維芽細胞と脂肪細胞との関連性を明らかにすることにより、線維増殖の過程における段階的異常を探究することにある。それにより、さらなるケロイド発生メカニズムの解明ができ、ケロイドの発生を未然に防ぐと言った新たな治療選択肢の開発にもつながっていくものと考える。 本研究により、ケロイド線維芽細胞と脂肪細胞との関連性、具体的にはケロイド線維芽細胞と脂肪細胞の共培養下にTGF-βやα-SMAなどのサイトカインの発現の変化を検証する。さらに脂肪細胞への分化の転写因子であるPPARγによる刺激試験を行い、ケロイド線維芽細胞の変化を検証することで、脂肪細胞を介した新たなケロイド治療の可能性につき模索する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当院ケロイド外来におけるケロイドの手術適応となる症例が計画より下回っており、それに伴って検体採取が遅れている。ケロイド線維芽細胞の培養を行なうも全体として数が少ないため、これまでにストックした検体での解析と、さらに代わってSCIDマウスにヒト分層植皮を移植した肥厚性瘢痕モデルを、実験に用いていくことで計画中である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き臨床検体の採取およびケロイド線維芽細胞の培養も行ない、検体を蓄積していく。また、平行してSCIDマウスによる肥厚性瘢痕モデルなどを用いながら、周囲脂肪細胞の関連性に関して、適宜、サイトカイン、ケモカインなどの解析を行なっていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に進めたことに伴い発生した未使用額であり、令和2年度請求額と合わせ、令和2年度の研究遂行に使用する予定である。
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