2020 Fiscal Year Research-status Report
生殖機能獲得を目指した同性・異性間子宮卵巣同時移植の研究
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18K09482
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
難波 祐三郎 岡山大学, 大学病院, 教授 (00335605)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 子宮移植 / 子宮卵巣移植 / 性同一性障害 / 異性間移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和1年度では暫定的な移植血管、及び移植組織の範囲を決定した。ただし、移植組織範囲の決定の目安がこれまでの研究では肉眼的な血流状態の変化であったため、最終的に機能面を保持した子宮移植を行うことを目標とするためには、より詳細な移植組織の生着評価法を確立するのが先決と考えられた。そのため令和2年度は前回までの肉眼的評価に加えて、血流計を用いた評価を行うこととした。まずスマートフォン向け小型赤外線サーモグラフィカメラであるFLIR ONEを使用して子宮栄養動脈をそれぞれクランプした後の血流確認を試みたものの、各種条件を整理・調整しても子宮以外の周囲血流も敏感に感知しすぎてしまい、詳細な血流評価には不向きであった。そのため、別に血流評価機器を使用して同様に評価を試みたが、やはりこれも同様に設定の問題もあったかもしれないが評価困難であり、また周囲環境などの細かい条件設定に難渋することから断念した。実際の移植後組織評価は、過去の報告も参考にして肉眼的な色調・張り、ピンプリックによる血流評価(実臨床で主に使用される簡便で比較的信頼性のある評価法)、移植後組織の切片作成による顕微鏡的評価で行うこととした。ラットの犠牲を最小限に抑えるために、これまで通り自家組織移植として、雌ラットの左子宮体部を子宮動静脈を茎として総腸骨動静脈を付着させて挙上、再度同部位に移植して、移植による血流再開直後、10分後、移植3~5日後に肉眼的評価、血流評価機器による評価、顕微鏡的評価を行い相関性を評価する形式で評価を開始しているが、まだ実施数が少なく評価法の違いによる関連性を導き出せる所にまでは至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
移植組織の安定した評価法が確立していないと、移植のみを進めてもより正確な評価が困難である。そのため、その評価法の確立、特に機器を用いた血流評価の安定性確認に時間を要したことが、進捗が遅れた原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で移植技術の詳細、及び安定した評価法を確立出来たため、次年度には雄ラットへの子宮移植を早急に進めて、移植子宮の生着状況評価、移植による合併症評価を術後短期・長期に分けて行っていく。
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Causes of Carryover |
重要な点である移植組織の評価方法確立に想定以上に時間を要したため、当初の目標である雄ラットへの移植評価が進みきれなかったことが、次年度使用額が生じた理由である。 次年度においては、上記理由で後ろ倒しになっている動物実験を早急に施行完了させる方向で計画しており、最終的には計画通りに研究を完了させる見通しである。
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