2019 Fiscal Year Research-status Report
軟骨は移植された後どのような代謝が生じるのか? -糖鎖工学を用いた生化学的検討ー
Project/Area Number |
18K09486
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
四ッ柳 高敏 札幌医科大学, 医学部, 教授 (70250595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 建 札幌医科大学, 医学部, 講師 (30312507)
柿崎 育子 弘前大学, 医学研究科, 准教授 (80302024)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 軟骨 / 移植 / 吸収 / グリコサミノグリカン |
Outline of Annual Research Achievements |
10歳~22歳の患者の小耳症手術にて破棄する余剰肋軟骨を検体として用いた。4%パラホルムアルデヒド溶液 もしくは10%ホルマリンに浸漬、24時間固定後、脱灰液B(EDTA)にて4~10週間脱灰し、パラフィン包埋標本を作成、5μm切片でHE染色、アルシアンブルー染色(pH2.5、核染色はケルンエヒトロート)を行った。光学顕微鏡にて撮影し、アルシアンブルー染色では軟骨の中心付近の3箇所で撮影し、ImageJにて定量した。 10~11歳の肋軟骨組織像は、HE染色では全体的に弱いヘマトキシリンへの染色性を示し、被膜マトリックス、小腔周囲マトリックスともに淡い色調で、小腔周囲間マトリックスとの色調のギャップは少なかった。一方、20歳以上のHE染色組織像は、被膜マトリックス、小腔周囲マトリックスが強いヘマトキシリン染色性を示し、細胞周囲間マトリックスとの色調ギャップが強かった。アルシアンブルー染色でもほぼ同様の所見であったが、染色像の定量解析では年齢に伴う増加傾向は認めなかった。 以上より、軟骨基質に含まれるグリコサミノグリカンは成長に伴って分布が変化することが明らかになった。コンドロイチン硫酸などのグリコサミノグリカンは、細胞接着、細胞のシグナル伝達の調整、細胞外マトリックスの構築などさまざまな生理活性を有することが近年報告されており、軟骨内での分布の変化は軟骨基質の性質や軟骨細胞の成熟度と関連すると考えられた。今後、生化学的解析によりグリコサミノグリカンの含有量・組成を明らかにし、なぜこのような分布の変化が生じるのか、機能的にどのような役割があるのか、究明していきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りの進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後グリコサミノグリカンの生化学的解析を行い、分布の変化、機能的役割の解明を行い、移植後の軟骨変性の機序を解明していく予定である。同程度の年齢でも個体差が大きく、免疫学的要因など、軟骨自身以外の要因も関与している可能性があることが分かり、それらも検討していく必要がある。
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Causes of Carryover |
次年度においてデータ解析のためのPC,ソフトの購入を要するため、本年度の残金と次年度の予算と合わせることとしている
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