2018 Fiscal Year Research-status Report
物理的けん引によるメカノバイオロジー効果の解明と再生治療への応用
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18K09489
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
宇田 宏一 自治医科大学, 医学部, 准教授 (20337306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 浩太郎 自治医科大学, 医学部, 教授 (60210762)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | メカノバイオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
体外式組織拡張器(BRAVA)を背部に装着したブタモデルを作製し、陰圧を持続的にかけた前後での、組織酸素分圧の変化測定、皮膚及び皮下組織の肉眼的、そして組織学的観察を行った。 組織内酸素分圧は、体外式拡張器装着して陰圧を負荷した後に低下した。このことは、陰圧負荷によって皮下組織に低酸素状態が生じていることが示唆された。また、肉眼的所見においては、装着部位の皮膚のうっ血様の色調変化、そして表皮の脱落を認め、陰圧によって皮膚のターンオーバーが促進されていることが示唆された。また、真皮直下血管網が陰圧負荷無しのコントロール部位と比べて、その密度が増し、血管が増生しているように見られた。また一部では血管が破壊され、血管外に血液の漏出も認めた。皮膚、皮下組織の物理的伸展により破壊されたと考えられた。 一方、深部皮下においては浮腫状となっており、皮下組織と筋膜間の疎な結合組織内にやや血清の漿液の貯留を認めた。組織学的観察においては、表皮および真皮の肥厚が生じており、さらに真皮のコラーゲン繊維は破壊され一部断裂し、真皮が急激に伸展している所見を呈していた。 共焦点レーザー顕微鏡での観察では、コントロールと比べて陰圧による物理的けん引のかかる長軸方向に沿うように新生血管の増生を認め、これにより虚血および物理的けん引によって血管新生が促されたことが示唆された。一方、皮下脂肪細胞自体には著明な変化は観察されず、脂肪細胞の増大もしくは破壊による現象は認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ブタモデル実験に於いて、体外式組織拡張器の脱落などが生じる事があったため。 また、予定にあった組織拡張器のオリジナルデバイスの開発の着手が予算的に難しい状況となっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
ブタは動きの抑制が難しく、かつ高額のため、平行してラットによるモデル作成を行い、ブタモデルのnの縮小に対応するようにする。組織拡張器装着部位の皮下において、分子生物学的に血管新生やメカノ受容体などの増生に強く影響するとされるVGFファミリーを中心とした因子を定量評価してメカノバイオロジー効果を確認、解析する。
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Causes of Carryover |
理由:ブタモデルの装置脱落等のエピソードのため、少し実験計画が遅れたため。
使用計画:次年度は遅れた試薬等の購入などに当てる予定である。
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