2019 Fiscal Year Research-status Report
End-to-side neurorrhaphy as Schwann cells provider to artificial nerve
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18K09492
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
林 礼人 順天堂大学, 医学部, 教授 (10365645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉澤 秀和 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (10512593) [Withdrawn]
市原 理司 順天堂大学, 医学部, 助教 (40599247)
上森 友樹 順天堂大学, 医学部, 助手 (70773836)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 末梢神経再生 / 端側神経縫合 / 人工神経 / シュワン細胞 / 神経再建 / ハイブリッド型人工神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は実験モデルの作成並びにその適正化を考えながら研究を遂行した。 遺伝子改変により神経組織が蛍光発色するトランスジェニックマウスを用いる評価法は、末梢神経再生研究において重要な評価法で、人工神経移植が実際に可能かを検討しながら、実験を進めた。使用したトランスジェニックマウスは、すべての神経が発色するThy1-YFP16 マウスとシュワン細胞が幼若化すると蛍光発色するNestin-GFP マウスであったが、予め受精卵として凍結保存していたものを孵化させるところからスタートした。 繁殖し得たトランスジェニックマウスが実際に実体顕微鏡下で発色するかを確認し、再生軸索や遊走するシュワン細胞がLive imagingの手法で観察可能かについても、改めて検討した。シュワン細胞充填型人工神経の作成においては端側神経縫合の手技を用いるが、シュワン細胞を供給するドナー神経への損傷程度とそれに伴うシュワン細胞の遊走や軸索の発芽程度について、全軸索が蛍光発色するThy1-YFP16マウスを利用し検討を加えた。 ドナー神経損傷部での軸索発芽を実体顕微鏡下で確認した上で、実際に人工神経とマウス坐骨神経との端側縫合モデル作成を開始した。しかし、マウス坐骨神経と既存の人工神経のサイズミスマッチが余りにも大きく、適正な端側神経縫合やそれに伴うシュワン細胞の遊走を促す為には、細経の人工神経の開発が必要と考えた。1mm経が最も細い人工神経となるが、マウス坐骨神経に合わせ、最終的に0.4mmの人工神経を作成することが出来、シュワン細胞充填型人工神経の作成を開始している。細経人工神経の開発を行っている期間については、人工神経と同程度の弾性を有する小児輸液用のカテーテルを人工神経に見立て、モデル作成のシミュレーションなども行った。今後、作成モデルの経時的な評価を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
動物実験室の大規模改修が2019年2月に完了したため、改修終了後に遺伝子改変マウスの搬入が可能になった。遺伝子改変マウスの交配を行ない、PCR検査で遺伝子改変マウスか否かの確認を行いながら、モデル作成に必要なマウスの繁殖を行った。軸索が蛍光発色するThy1-YFP mouse, シュワン細胞が蛍光発色するNestin GFP mouseともに15匹程度の成年マウスが維持出来る様に繁殖を軌道にのせた。 まずは繁殖したThy1-YFPマウスを利用して、実際にモデル作成を行ったが、蛍光実体顕微鏡下に坐骨神経の蛍光発色を確認の上、人工神経との端側神経縫合モデルの作成を行った。作成に際し、神経上膜を損傷させてperineural windowを作成し、坐骨神経実質が露出されていることを確認。内径0.4mmの人工神経を神経損傷部と11-0ナイロンで端側吻合を用いて連結し、吻合した人工神経が神経周囲の筋膜内に収納できるように筋膜と皮膚を縫合し閉創。術後一定期間を経て再度で同一モデルを開窓し、人工神経内の再生軸索やそれに伴う遊走シュワン細胞の評価を行う様にした。 ここまでを2020年3月初旬までに終了した時点で,新型コロナウイルス感染により動物実験室の使用が禁止となり、現段階では再開の見通しが立たない状況になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
トランスジェニックマウスの繁殖が行える様になり、マウスサイズに合わせた0.4mm経の人工神経を用いた実験モデルの作成が新たに可能となった。しかし、0.4mmの人工神経を用いた実験モデルでは、術後3週後に手術創を再度展開すると、人工神経の形状が確認できない状態になるモデルが存在した。人工神経の素材であるコラーゲンの分解速度が人体と比較し早いことが考えられるため、同径で壁を厚くするなどした人工神経の再構築に加え、1.0mm径の人工神経を用いた実験モデルの作成も並行して行う。 1.0mm径の人工神経については、実際に臨床応用されているために、分解速度の問題はそれ程無いものと思われるが、マウスでのモデル作成が困難な場合には、ラットを用いた実験も合わせて行うことも検討する。 実験モデル作成を安定して可能にした後に、人工神経内における再生軸索伸長やシュワン細胞遊走の様子をLive imagingやwhole mount imaging等の手技を用いて継時的(1.3.5週を予定)に確認する。さらには、再生軸索数といった定量評価についても、具体的な検討を行っていく。 ただし、現在は新型コロナウイルス感染に伴い、動物実験室の使用が中止になっている。今後どの程度の期間中断が継続するかは未定だが、こうした状況が、実験の遂行に大きな影響を与えることになると思われ、状況に合わせた対応を検討していく必要がある。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症の蔓延により動物実験室の使用が禁止となり、本年度中に行う予定であった動物実験ならびに形態学も含めた様々な評価を行うことが出来なかった。それに伴い、実験動物の購入や飼育繁殖に必要な費用、さらに形態学や分子生物学的な評価に使用する試薬等の購入費用や標本作成のための費用などの支出が行われなかった。これらの費用は、動物実験が再開になった時点で必ず必要となる費用となり、その分の差額を次年度用とした。また、これら実験から得られた知見を報告するために、国際・国内学会での発表や、英文論文作成に要する費用(英文校正・投稿料)での支出も必要となるが、そうした成果報告が行える様に、実験の遂行を行っていきたいと考えている。
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