2018 Fiscal Year Research-status Report
血管内皮前駆細胞による重症下肢虚血治療で副次的に生じる疼痛軽減効果の作用機序解明
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18K09493
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
萩原 裕子 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 博士研究員 (30589429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 里佳 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (70509827)
櫻田 司 第一薬科大学, 薬学部, 教授 (80124907)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 再生医療 / 疼痛緩和 / 細胞移植 / 慢性虚血性疼痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病や高血圧などの生活習慣病の罹患率増加や高齢化により、末梢動脈疾患の患者数はさらに増加し、社会的問題になりつつある。末梢動脈疾患の中でも特に重症下肢虚血(CLI)で見られる虚血性疼痛は慢性疼痛の中でも重症度が高く、患者のQOLを著しく低下させる。 近年、重症下肢虚血に対する有効な新規治療法として血管再生能を有する細胞を移植する血管再生療法が発展しているなかで、興味深いことに血管再生療法を受けた患者は移植直後から長期にわたって疼痛が軽減することが報告された。その疼痛軽減メカニズムは明らかにすることで、重症な慢性疼痛の新たな対処法を見出だせる可能性がある。 そこで本研究では、移植細胞による即効的・持続的な疼痛軽減作用のメカニズムの解明を目指し、動物モデルを用いて慢性虚血性疼痛時に生体内で起こるタンパク活性および遺伝子発現変化を分子生物学的に解析することを目的としている。本年度は、いまだに確立されていない慢性虚血性疼痛モデルの作成方法の樹立に重点をおいて実験を実施した。その結果、既存のモデルとい比較して患者病態に近い症状を呈するマウスモデルを作成することに成功した。また本研究で使用している生体外増幅末梢血単核球は、これまでに高い血管再生能と創傷治癒効果を有することは実証されていたが、本年度の研究において、移植直後の疼痛緩和作用のみならず、神経細胞そのものにも影響を与える可能性が示唆された。今後、より詳細なメカニズム解明を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物実験施設の改装工事による実験の中断もあったが、動物モデルの確立がすすんだ。また本年度の研究家結果から、生体外増幅末梢血単核球は血管・組織修復再生機能以外に、神経細胞にも影響を及ぼすことが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度以降は、引き続き安定した慢性虚血性動物モデルの作成を遂行すると共に、細胞移植による即時的な疼痛緩和機構の解明を行う。
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Causes of Carryover |
順天堂大学動物室の改装・移転工事のために動物実験が一時的に使用できなくなったことから、動物購入が出来なくなったため、その分を次年度分として繰り越した。
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