2020 Fiscal Year Research-status Report
podoplanin陽性細胞が創傷治癒に果たす役割とは何か?
Project/Area Number |
18K09496
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
清水 一彦 帝京大学, 医療技術学部, 准教授 (90385394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊田 幸子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (10367089)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ポドプラニン / 炎症 / 線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は炎症の場に現れるポドプラニン(PDPN)陽性細胞の性状を形態学的・分子生物学的に追求し、この細胞が炎症の場で細胞遊走に関わるメカニズムを解明 することを目的としている。そこでマウス創傷治癒モデルを考案し、「PDPN陽性細胞が創傷治癒に果たす役割を解明する」事を研究期間内の目的としている。この期間内目的を遂行するにあたり、本年度は、論文作成のために前年度までに出た発現因子の定量について得られたデータの再解析を詳細に行なった。これは、いくつかの因子に対する抗体と抗PDPN抗体を用いた多重免疫染色の結果、さらに受傷後1日目の皮膚よりtotal RNAを抽出して多重免疫染色で陽性になった因子を中心に、real-time PCRにより調査したデータを再集計したものである。その結果、前年度同様に受傷後1日目にCCL2などをはじめとした幾つかのケモカインの発現が明確に確認されたが、一部の因子においては有意差があるとみられていたもののバラツキが多いものも確認できた。また、VEGFcなどの発現には変化がなかった。real-time PCRにより発現量を解析した結果、CCL2を含むいくつかの因子については発現が上昇しているものが確認できた。また、これらのPDPN陽性細胞はα-smooth muscle actin やheat shock protein 47に対する抗体に陽性であり、筋線維芽細胞の可能性が示唆されたものの、一部ではCD68にPDPNの発現が見られるものもあった。以上の結果より、PDPNは特定の細胞種によって発現されるものではない可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はまず、自身の所属が変わったため、実験環境を新たに整える必要があった。また、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、オンライン講義の準備や、自宅勤務の期間もあり、新たな実験を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は期間延長した最終年度であるため、研究内容をまとめる方向で進める。具体的には、 1:多重免疫染色により、PDPN陽性細胞がどの様な機能的因子を発現しているのかをさらに調査する。 2:抗PDPN抗体を受傷後に投与することでPDPNの機能阻害を試み、1:で検索した機能的因子がどの様に変化するかを調査する。 3:研究内容を精査し、論文投稿の準備を行う。4:培養細胞を用いて、PDPNの発現制御についての研究準備を行う。 特に3については前年度より着手しているため、2021年度中の投稿を目指す。
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Causes of Carryover |
2020度同様、本年度も所属機関の変更により、自身の研究環境の整備に時間を取られてしまった。さらに新型コロナウイルス蔓延により、オンライン講義準備など他の業務エフォートが増えたために十分な研究時間を確保することができなかった。2020年度までの未使用額についてはまず、論文投稿に関わる英文校閲量・投稿料に使用する。また、培養細胞を用いたPDPNの発現量を詳細に解析するための準備として、培養細胞の購入およびその維持費、また、培養細胞よの遺伝子発現量を解析するための費用にも使用する。さらに、本研究で用いる遺伝子発現量を解析する機器が、本学に適当なものがない場合は、外部委託を行ったり、発現解析が可能な機器を購入したりレンタルする必要となるため、その費用にも充てる。
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