2018 Fiscal Year Research-status Report
骨髄由来細胞が分泌する神経再生因子の解析ー脊髄損傷の治療に向けてー
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18K09499
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Research Institution | Aino University |
Principal Investigator |
中野 法彦 藍野大学, 中央研究施設, 准教授 (40322721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井出 千束 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (70010080)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 神経再生 / 骨髄間質細胞 / 脊髄損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、これまでに骨髄間質細胞を脊髄損傷モデルラットに移植すると、形態学的および行動学的に著名に回復することを明らかにしてきた。移植した骨髄間質細胞は脊髄内で最初は生着するが、2~3週間後には消失することから、骨髄間質細胞は宿主に組み込まれて効果を発揮するのではなく、細胞から分泌された液性因子によって効果をもたらすと考えられる。また、細胞調製がより簡便である骨髄単核球細胞を用いた移植も有効であることがわかってきた。そこで、我々は、骨髄間質細胞および骨髄単核球細胞が分泌する因子の網羅的解析が必要と考え、両者が分泌する神経再生因子の比較および分離精製を進めている。 まず、4週齢Sprague-Dawley (SD) ラットの大腿骨および脛骨の骨髄液から採取したラット骨髄間質細胞を継代培養し、無血清培養上清を回収した。これらの培養上清を新生仔ラットの海馬由来神経細胞に添加したところ、神経細胞の生存維持と突起伸長の促進がみられた。そこで、培養上清から、神経突起伸長能を指標にして、ヘパリンアフィニティー、イオン交換、ゲルろ過、逆相などの液体クロマトグラフィーを組み合わせて、神経突起伸長活性の有する分画の分離精製を行った。一連のカラムワークにより得られた精製標品は、質量分析計を用いて同定を行っている。 これまでの解析を通して、培養上清には神経再生に関わる因子が複数存在し、これらが協調して神経再生に携わっていると考えられる。これらの因子の性質について解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年6月の大阪北部地震で本学は多大な被害を受け、培養室や液体クロマトグラフィーが数ヶ月にわたり使用できなかった。復旧したところから実験を再開している。
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Strategy for Future Research Activity |
地震で被害を受けた機器類はほぼ復旧した。復旧に伴い機器が新しい型になったことならびにこれまで得られたデータの蓄積を利用することにより、今後は効率よく研究が進むものと考えている。
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Causes of Carryover |
平成30年6月に起きた大阪北部地震で多大な被害を受けて、研究が数ヶ月にわたって中断した。次年度は、昨年度未実施である研究計画とともに、もともとの研究計画も行えるようになお一層注力していきたい。
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