2020 Fiscal Year Research-status Report
歯根膜におけるメカノ・ケミカル機構の解明―直交する二つの細胞外線維の考証―
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18K09502
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
敦賀 英知 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (30295901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 暁子 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (60452778)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 歯根膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯根膜にはエラスチンの伴わない弾性系線維であるオキシタラン線維が存在する。歯根膜のオキシタラン線維の走行は歯軸に平行に存在する。歯根膜線維芽細胞と肺胞線維芽細胞を用いて、免疫染色を行った。細胞膜因子の解析により歯根膜線維芽細胞と肺胞線維芽細胞においてインテグリンαVとβ3およびα5とβ1が相互に関与してオキシタラン線維とコラーゲン線維を補足していることを踏まえて、歯根膜線維芽細胞と肺胞線維芽細胞の培養細胞・細胞外基質層を回収し、メカノ-シグナル系の細胞内因子(①talin ②vinculin ③actinin)の解析を行った。前年度の解析において三分子においては歯根膜線維芽細胞と肺胞線維芽細胞間の差異は観察されず、メカノ-シグナル系がオキシタラン線維とコラーゲン線維の走行の規則性には反映していない可能性が示されたため、ケミカル-シグナル系(①FAK ②LIMK1 ③PAK)のリン酸化の解析を行った。歯根膜線維芽細胞では主にPAKのリン酸化が顕著であった。一方、肺胞線維芽細胞ではFAKの発現が顕著であり、PAKでは有意な差は確認されていない。歯根膜線維芽細胞と肺胞線維芽細胞におけるPAKおよびFAKのベースラインの確立はされており、メカノ-シグナル系とケミカル-シグナル系の総合的な考察を行うことができる。また、歯根膜線維芽細胞におけるPAKの発現がオキシタラン線維とコラーゲン線維の位置関係に関与するかはまだ明らかになっていない。さらに、LIMK1の検出条件が確立されていないため、上記の再現性を確認するとともにLIMK1の発現解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オキシタラン線維とコラーゲン線維の走行の位置的解析に引き続き、メカノ-シグナル系の解析が終了したので、ケミカル-シグナル系の一部の解析を行いベースラインを確立する。
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Strategy for Future Research Activity |
オキシタラン線維とコラーゲン線維の走行の位置的解析のために、歯根膜線維芽細胞におけるケミカル-シグナル系を確立する。
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Causes of Carryover |
購入した抗体が当初の予定より効率よく使用できたために購入予定数より少なく済んだことから次年度使用額が生じた。次年度使用額分は細胞培養に用いる消耗品であるため、細胞培地購入に用いる予定である。
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