2018 Fiscal Year Research-status Report
エナメル上皮細胞の動態を制御するストレス応答性糖代謝調節機構の解明
Project/Area Number |
18K09505
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
依田 浩子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60293213)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 英光 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (70271210)
入江 太朗 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (00317570)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エナメル質 / ストレス応答 / オートファジー / 糖代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の目的は、エナメル上皮幹細胞からエナメル芽細胞までの分化過程における「オートファジーを介した糖代謝調節機構」について遺伝子改変マウスを用いて明らかにすることである。本年度は以下の研究を行なった。
1.エナメル上皮細胞分化過程におけるストレス環境の全容把握: エナメル上皮細胞の幹細胞―増殖期―形成期―成熟期の時期特異的なストレス状況(低酸素・低栄養・酸化ストレス)を把握するために、マウス上顎切歯について免疫組織化学的手法を用いて各種ストレス応答性分子の局在について検索した。その結果、低酸素マーカーのHIF-1および低栄養マーカーのAMPKは基質形成期および成熟期エナメル芽細胞に発現していた。従って、エナメル基質の分泌および石灰化の時期にエナメル芽細胞には多くのストレス負荷が生じていることが推察された。オートファジーマーカーのLC3およびAtg7は成熟期の乳頭層細胞に強発現していた。
2. 糖尿病モデルマウスにおける歯の発育異常の検索: ストレプトゾシン(STZ)誘発性I型糖尿病マウス、およびII型糖尿病マウス(TSODマウス)の歯の異常について、形態学的解析を開始した。その結果、I型糖尿病マウスにはエナメル質形成不全と成熟期エナメル芽細胞のオートファジー関連分子の異常蓄積が確認されている。一方、II型糖尿病マウスでは明らかなエナメル質形成異常は確認されていないが、セメント質および象牙質に変化が生じていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書の研究計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は上皮特異的オートファジー欠損マウスを確立し、オートファジーを介するストレス応答による糖代謝調節機構とエナメル質形成との関係性について、組織学的解析、トランスクリプトーム解析およびメタボローム解析等により明らかにしていく予定である。 同時に、平成30年度に開始した糖尿病モデルマウスの歯の表現型についての解析も進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度に予定していたトランスクリプトーム解析を次年度以降に変更し、その費用を次年度に繰り越したため。
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Research Products
(2 results)