2018 Fiscal Year Research-status Report
MMP-2欠損マウスの硬組織デグラドームを利用した石灰化制御基質タンパクの探索
Project/Area Number |
18K09517
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
笹野 泰之 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30196191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 治 東北大学, 歯学研究科, 教授 (60374948)
矢尾 育子 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 准教授 (60399681)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | MMP-2欠損マウス / 硬組織 / 石灰化 / 基質タンパク / 質量顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨と象牙質の石灰化に際しMMP-2で分解される「石灰化制御基質タンパク」を探索することを本研究の目的とする。MMP-2デグラドーム(MMP-2酵素で分解されるタンパクとその分解産物のプロテオーム)をMMP-2欠損マウスと野生型マウスのプロテオームを比較検討することで明らかとする。この際、プロテオームは質量顕微鏡を用いて可視化し、MMP-2欠損で残存し野生型で消失するタンパクを「石灰化制御基質タンパク」として抽出する。また、骨と象牙質のミネラル結晶の特性を解析し、MMP-2欠損における石灰化に関連する表現型も併せて検討する。平成31年度では、MMP-2欠損マウス(GelA KO)を理研バイオリソース研究センター(理研BRC)から導入し、本学の動物実験施設における検疫を経て、繁殖を開始した。Mmp2-/-のメスは正常な分娩が行えないことから、Mmp2+/-の掛け合わせにより繁殖した。理研BRCの情報に基づき、遺伝子型決定のためのPCR条件の検討を行った。その結果、野生型配列の検出にはGelA Forward(5’-GTGCTACTGCAGGATAAACTGATG-3’)とGelA Reverse(5’-CCGGGACAGGAACGTACTGGGTTC-3’)のプライマーを用い、94℃ 2分の熱変成の後、98℃ 10秒、55℃ 30秒、68℃ 60秒の3ステップを30サイクル繰り返し、さらに72℃ 10分の伸長反応を行う反応条件を設定した。ノックアウト配列の検出には、GelA ForwardおよびPGKF(5’-CCGGGACAGGAACGTACTGGGTTC-3’)のプライマーを用い、94℃ 2分の熱変成の後、98℃ 10秒、58℃ 30秒、68℃ 60秒の3ステップを30サイクル繰り返し、さらに72℃ 5分の伸長反応を行う条件とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MMP-2欠損マウス(GelA KO)の発注の手続きと学内の動物実験施設における遺伝子改変マウス受入れに関する手続きに想定以上の時間を要し、MMP-2欠損マウス(GelA KO)の導入が遅れたため。
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Strategy for Future Research Activity |
生後7週齢および2週齢のMMP-2欠損および野生型のマウスを全身麻酔下に4%パラホルムアルデヒドで固定し下肢と下顎を摘出して凍結包埋し、質量顕微鏡解析用切片を作製する。質量顕微鏡で可視化したプロテオームを皮質骨と海綿骨(大腿骨)および象牙質(下顎第一臼歯)に関して抽出し、MMP-2デグラドームを解析する。また、皮質骨・海綿骨と象牙質について、エネルギー分散型X線分析(SEM-EDX)、X線回折(XRD)、赤外分光法(FT-IR)で、ミネラル結晶の組成、密度、構造等を解析し、石灰化の表現型を検討する。MMP-2デグラドーム解析で得られた候補タンパクの質量分析データを基に抗原とするアミノ酸配列を設計し、抗原ペプチドを合成してウサギを免疫し抗体を作製する。生後2週齢のMMP-2欠損マウスを全身麻酔下に4%パラホルムアルデヒド-1%グルタールアルデヒドで固定し、大腿骨および下顎第一臼歯を樹脂包埋する。超薄切片を作製し、作製した抗体を用いて免疫染色する。染色された基質タンパクとミネラル結晶との相互関係を透過型電子顕微鏡で検討し、ミネラル結晶を吸着しているタンパクを石灰化制御基質タンパクとして同定する。
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Causes of Carryover |
(理由)MMP-2欠損マウス(GelA KO)の発注の手続きと学内の動物実験施設における遺伝子改変マウス受入れに関する手続きに想定以上の時間を要し、MMP-2欠損マウス(GelA KO)の導入が遅れたため。 (使用計画)平成31年度の研究費の主な使用計画を以下に記載する。なお、平成30年度の未使用額と平成31年度請求額を合わせ、平成31年度の研究遂行に使用する。(プラスチック・ガラス器具)質量顕微鏡用、ミネラル解析用、免疫電子顕微鏡用の試料作製用として必要となる。(固定剤、試料包埋剤等)化学固定剤、試料凍結用の包埋剤、電子顕微鏡用の包埋用樹脂等が必要となる(質量顕微鏡用スライドガラス)導電性を持たせ酸化インジウムスズがコーティングしてあるスライドガラス(50千円/20枚)が100-200枚必要である。(SEM-EDX、XRD、FT-IR用消耗品)スライドガラス、試薬等が必要となる。(国内旅費・外国旅費)共同研究として浜松医科大学メディカルフォトニクス研究センターで質量顕微鏡解析を実施するため、研究打ち合せ旅費が必要となる。(その他)質量顕微鏡の利用料金(40千円/日)として、平成31年度は年間12日間を見込む。
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