2020 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of signal molecules of protein kinases involved in chondrocyte differentiation and cartilage formation
Project/Area Number |
18K09518
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高畑 佳史 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (60635845)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リン酸化 / 軟骨細胞 / 骨形成 / シグナル伝達 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
軟骨組織は骨格の支持・成長に重要な役割を果たす。軟骨組織は、未分化間葉系細胞から軟骨細胞へと分化し、この分化過程が正常に進行することで骨格の伸長を伴う内軟骨骨形成が引き起こされる。なかでも骨形成因子BMPはSmad分子のリン酸化を誘導し、強い骨・軟骨形成促進作用がある。しかし、その下流に存在する骨・軟骨形成を決定づけるシグナル分子やその伝達機構の詳細についてはほとんど分かっていない。本研究ではリン酸化シグナルに着目し、BMPにより誘導されるキナーゼ関連分子を網羅的に探索し、軟骨細胞分化に重要な因子の同定と機能解析を行った。 未分化間葉系細胞を多く含み 、多分化能を有する胎生12日目のマウス肢芽細胞を用いて、BMP2を処理することで発現が上昇するプロテインキナーゼ遺伝子をGenechipを用いたマイクロアレイにより遺伝子発現解析を行った。その際、絞り込みの条件としてBMPによって発現上昇が顕著かつ機能が全く未知であるものを検索し、新規のセリンスレオニンプロテインキナーゼであるStk32aを同定した。引き続き培養細胞を用いた解析を行い、肢芽細胞にStk32aを過剰発現させ、骨・軟骨誘導培地にて分化能を検討したところ、骨形成に必須である転写因子Runx2、Osterixの発現上昇が観察された。またshRNAにて遺伝子ノックダウンした肢芽細胞で石灰化の著明な抑制が観察された。さらに、マウス個体における新規プロテインキナーゼの機能解析を行うため、CRISPR/Cas9法を用いてStk32aとそのファミリー遺伝子であるStk32bの遺伝子ノックアウト(KO)マウスを作製した。この両者のKOマウスおよびダブルノックアウトマウスの骨表現系を解析すると、胎生14日目の上腕骨に軽微な変化を認めたものの、軟骨全体で著明な骨表現系を示さなかった。
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