2020 Fiscal Year Annual Research Report
Mapping of cellular functions of taste-relaying neurons in the brain, defined by genetic tracing
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18K09519
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉田 誠 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (50235884)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 味覚 / 情動 / 味覚誘発行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
苦味受容味細胞に選択的に経ニューロン性トレーサー(WGA-DsRed)を発現するトランスジェニックマウスにおいて、味細胞から移行したWGA-DsRedを受け取る苦味経路ニューロンの橋・視床下部における三次元的空間配置と保有する細胞機能との関係を探究した。橋結合腕傍核の苦味経路ニューロンの発現分子(Melanocortin 4 receptor (MC4R), β1-adrenergic receptor, mGluR7, CGRP, GAD65/67, VGLUT2等)を免疫組織化学的に検出し、ニューロン種を規定する分子やシグナル伝達に関与する分子の発現を、後方medial側と前方external lateral側に局在する苦味経路ニューロンで比較した。前方external lateral側の苦味経路ニューロンの一部にはMC4Rを発現するニューロンが観察され、α-MSHにより機能調節されることが考えられた。また同位置の苦味経路ニューロンの一部にはVGLUT2発現が観察され、興奮性ニューロンであることが示唆された。後方medial側と前方external lateral側の苦味経路ニューロンが苦味情報を選択的に受け取り処理するか、他の感覚情報も受け取り情報統合を行うかを、各種刺激後のc-fos発現誘導を指標として分析した。後方medial側の苦味経路ニューロンは苦味情報を選択的に処理するのに比較し、前方external lateral側の苦味経路ニューロンは苦味刺激に加え内臓感覚不快感を惹起する刺激でも活性化され、両情報を統合し処理することが考えられた。視床下部領域において、WGA-DsRedで標識される苦味経路ニューロンは主にParaventricular nucleus (PVN)で観察され、少数はMedial preoptic nucleus (MPO)で検出された。MPO領域に局在する苦味経路ニューロンに比較し、PVN領域に局在する苦味経路ニューロンは口腔内水刺激に比べ苦味刺激で顕著に活性化されることが明らかとなり、視床下部PVN領域に局在する苦味経路ニューロンは、苦味刺激によるストレス応答に関与することが示唆された。
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