2018 Fiscal Year Research-status Report
D-ドーパクロムトートメラーゼに関連する肥満治療薬の開発戦略
Project/Area Number |
18K09520
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
岩田 武男 新潟薬科大学, 薬学部, 准教授 (10350399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水澤 典子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (80254746)
吉本 勝彦 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (90201863)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アディポカイン / 脂肪細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト脂肪細胞が分泌するD-ドーパクロムトートメラーゼ(DDT)は、インスリン抵抗性改善作用や脂肪分化抑制作用をもつ善玉アディポカインであることが示唆されている。一方、DDTは特定の癌細胞では癌細胞の増殖や炎症を惹起するマクロファージ遊走阻止因子(MIF)のホモログとして作用する。DDTとMIFの異なる作用機序、発現機序を明らかにして、DDT特異的機能に関与する分子を標的とした薬物の開発につなげることが本研究の目的である。最初に、MIFとDDTの組換えタンパク質を作用させたヒト前駆細胞SGBS細胞の脂肪分化能について検討した。DDT存在下で脂肪分化誘導を行ったSGBS細胞では中性脂肪の蓄積、分化した細胞数の割合がともに減少したのに対し、MIFを作用させたSGBS細胞では脂肪分化した細胞の割合は上昇したが、中性脂肪の蓄積はむしろ低下傾向にあった。この結果は、MIFは脂肪分化を促進するが、中性脂肪の蓄積はむしろ抑制することを意味するのかもしれない。またヒト肝がん細胞株HepG2にDDTの組換えタンパク質を作用させて炎症性サイトカイン、細胞増殖、アポトーシスに関連する遺伝子の発現変動について検討した。これまでに測定したTNF-α、IL-1、IL-6、CyclinD1、BCL-2、BAX、BIM、のmRNA発現量に差は認められなかった。MIFはこれらの因子の発現に影響を及ぼすことが知られており、この結果はDDTとMIFの作用の差異を証明するものである。今後は他の細胞を用いてDDTとMIFの作用の違いについて検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は所属が変更し、研究環境のセットアップに時間がとられたのにもかかわらず、脂肪細胞および肝がん細胞でのDDTとMIFの作用の違いを明らかにすることができた。その詳細な作用機序、シグナル伝達を解析することでDDT特異的な分子作用機序を明らかにできれば、DDTの作用を増強できる薬物の開発につなげることができる。以上の点より、概ね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
DDTの脂肪分化抑制の分子機序の解明を行う。具体的にはヒト特異的な脂肪分化促進転写因子であるLMO3のDDTによる発現抑制機序について、様々なシグナル阻害薬を用いて明らかにしていく。またHepG2細胞でのDDTの作用を発現抑制系を用いることでより詳細に検討する。さらにマクロファージや単球でのDDTとMIFの作用およびその作用機序についても検討を行う。、
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Causes of Carryover |
所属の移動があり、研究の期間が少し短縮したため予算の使用が遅れた。今年度の消耗品費に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)