2018 Fiscal Year Research-status Report
骨細胞を基軸とした骨吸収トリガーエクソソームの探索と骨破壊制御への展開
Project/Area Number |
18K09522
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上原 範久 九州大学, 歯学研究院, 助教 (30368211)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨細胞 / 酸化ストレス / 糖化コラーゲン / 細胞外小胞 / 破骨細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨細胞は、骨組織において破骨細胞・骨芽細胞との直接的あるいは液性因子を介した細胞間ネットワークを構築し、様々な刺激の感受とその応答により骨恒常性を制御する指令細胞として機能する。近年、エンドソーム由来の細胞外分泌小胞であるエクソソームが、骨代謝細胞間における情報伝達ツールとして細胞機能の調節を行うことが明らかとなった。本研究では、病的骨破壊を惹起しうる因子(骨転移性癌細胞由来分泌因子、酸化ストレス、糖化コラーゲン)の刺激に対して骨細胞より分泌される新たなエクソソームバイオマーカーを同定し、その骨代謝制御における機能の解明を目的とした。当該年度は、骨細胞より分泌される骨吸収トリガー分子、すなわち破骨細胞の分化・骨吸収に影響を及ぼす分子の単離と網羅的解析を行うために、まずマウス骨細胞株MLO-Y4のin vitroコラーゲンゲル培養モデルの構築と刺激因子(骨転移性癌細胞由来分泌因子、酸化ストレス、糖化コラーゲン)の至適濃度の検索を試みた。MLO-Y4細胞はコラーゲン上で培養を行うと、骨細胞特有の細胞形態である細胞突起が確認できる。そこで、刺激後の細胞生存ならびに形態変化を指標として、至適濃度の決定を行った。骨細胞への刺激因子として、①骨転移性癌細胞由来細胞外小胞は、マウス骨転移性乳癌細胞株4T1細胞より細胞外小胞を単離した。②酸化ストレスとして、過酸化水素を用い、③糖化コラーゲンは、コラーゲンにメチルグリオキサールを反応させ糖化コラーゲンを生成し培養に用いた。その結果、いずれの刺激におけるMLO-Y4細胞の至適培養条件を決定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス骨細胞株MLO-Y4のin vitroコラーゲンゲル培養モデルの構築において、コラーゲンへの糖化処理の至適条件等の検索に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス骨細胞株MLO-Y4のコラーゲンゲル培養のスケールアップを行い、刺激後の培養上清より細胞外小胞を単離し、内包されるmiRNAの網羅的解析、小胞表面および内包されるタンパクのLC/MS/MS解析を行い、骨吸収のトリガーマーカーの同定を行っていく予定である。あわせて刺激後の骨細胞由来細胞外小胞の破骨細胞分化、骨吸収機能への影響を検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
骨細胞培養条件の検討が長引いたため、年度内での骨細胞由来細胞外小胞のタンパクおよびmiRNAの網羅的解析を行えなかったため次年度への繰越を行った。
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