2020 Fiscal Year Annual Research Report
Bone metastatic breast cancer cell-derived extracellular vesicles block osteoblast mineralization through MAPK signaling
Project/Area Number |
18K09522
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上原 範久 九州大学, 歯学研究院, 助教 (30368211)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨細胞 / 骨芽細胞 / 細胞外小胞 / 破骨細胞 / 骨転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
溶骨性骨転移は、破骨細胞の活性化と骨芽細胞機能の抑制を特徴とする。これらの現象には、癌細胞由来液性因子を介した細胞間コミュニケーションが深く関与している。我々はこれまでに、骨転移性マウス乳癌細胞(4T1)由来細胞外小胞(Extracellular Vesicles (4T1-EV))が、マウス骨髄細胞への伝搬を介してRANKL誘導破骨細胞形成を促進し、アポトーシスを抑制することを報告した。しかしながら、癌細胞由来EVを介した癌細胞―骨芽細胞間相互作用の実態は未だ解明されていない。そこで本研究では、4T1-EVの骨芽細胞機能に及ぼす影響について検討した。EVは、非転移性 (67NR)および骨転移性マウス乳癌細胞(4T1)の培養上清より、ポリマー沈殿法を用いて単離した。マウス頭蓋冠由来骨芽細胞(MC3T3-E1)及びマウス骨髄間質細胞(ST2)を用い、EV添加後のRANKL、OPG発現変化をreal time-PCRおよびELISAにより検討した。また、MC3T3-E1およびST2の分化・石灰化への影響はreal time-PCR、ウェスタンブロットおよび アリザリンレッド染色により検討した。いずれの細胞においても、67NR-EVおよび4T1-EV刺激によるRANKL、OPG発現の変化は認められなかった。骨芽細胞分化誘導において、4T1-EV存在下では顕著な石灰化の抑制が観察され、それに伴い骨芽細胞成熟に重要な転写因子であるATF4の顕著な発現低下がみられた。興味深いことに、骨芽細胞分化刺激後のJNK、p38MAPKのリン酸化亢進が、4T1-EV存在下では顕著に抑制された。以上の結果から、4T1-EVは JNKおよびp38MAPKシグナルの調節を介して骨芽細胞成熟を制御する新規細胞間コミュニケーションツールとして機能する可能性が示唆された。
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