2018 Fiscal Year Research-status Report
Cell death-driven mechanisms for cancer progression: targeting the dying codes
Project/Area Number |
18K09533
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山崎 学 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10547516)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田沼 順一 新潟大学, 医歯学系, 教授 (20305139)
丸山 智 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (30397161)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 細胞死 / ダイイングコード / 口腔がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下の実験をおこなった。 1. 死細胞との共培養実験:3種類の口腔扁平上皮癌細胞株 (Ca9-22, HSC-2, HSC-3)を用い、凍結融解により死細胞を調整した。これらの大部分がannexin V陰性・PI陽性を示し、ネクローシスの状態であった。死細胞が生活細胞に及ぼす影響を解析するために、両者の共培養実験をおこなった。生活細胞に死細胞を直接添加した群、1 μmポアを有するメンブレンにより死細胞と非接触状態で共培養した群を単独培養群と比較した。24時間の共培養後に洗浄・固定し、Diff-Quik染色をおこなったところ、単独培養では細胞が胞巣状増殖を示したのに対し、死細胞の存在下では接触・非接触条件ともに細胞の分散化が認められ、このような変化はとくにHSC-3で顕著に認められた。 2. 細胞増殖試験:上記の3群において、S~M期マーカーgeminin に対する免疫細胞化学をおこない、陽性細胞率を算出した。その結果、いずれの細胞株においても、単独培養と比較して、接触・非接触に関わらず共培養群でgeminin陽性細胞率が有意に高かった。以上より、死細胞が生活細胞の増殖能を亢進させることが示された。 3. ゼラチンザイモグラフィーおよび浸潤試験:単独培養および共培養条件での培養上清を回収し、ゼラチンザイモグラフィーを施行したところ、HSC-2およびHSC-3において、MMPの活性化が確認された。次に、低接着プレートを用いて作製したスフェロイドをマトリゲルに包埋し、その上に死細胞を重積した。その結果、対照群ではスフェロイドの形態に変化はなかったが、死細胞添加群ではスフェロイドからの浸潤が認められ、その傾向はHSC-3で明らかであった。以上より、死細胞がMMP活性化を通じて、浸潤能を亢進させる可能性が示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
口腔扁平上皮癌切除材料を用いた解析を今年度に計画していたが、着手が遅れている。当初の計画から遅れを生じているが、今年度に得られた結果から研究の方向性は妥当と考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
口腔扁平上皮癌切除材料を用いた組織学的解析をおこなうとともに、死細胞との共培養実験系での抗体アレイならびにトランスクリプトーム解析に着手する予定である。これらの検討により、死細胞から発せられるダイイングコードの解明と、隣在する生活細胞の機能変化を探索したい。
|
Causes of Carryover |
(理由)研究計画にしたがって物品費等を計上してきたが、最終的に必要試薬の購入額に満たない残額が生じた。不必要な支出を避けるために、次年度使用額として計上した次第である。 (使用計画)次年度分の助成金と合算することにより、物品購入および外注解析の費用として有効利用する予定である。
|
Research Products
(4 results)