2021 Fiscal Year Research-status Report
生理活性物質カートデューシンの受容体同定と炎症における役割の解明
Project/Area Number |
18K09534
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 隆史 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (80324789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脇坂 聡 大阪大学, 歯学研究科, 名誉教授 (40158598) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | カートデューシン / CTRP3 / 肝臓 / 糖新生 / アミノ酸代謝 / 絶食 |
Outline of Annual Research Achievements |
Cartducin(カートデューシン)はC1q/TNF-related protein 3 (CTRP3)ともよばれており、新たなカテゴリーである「C1q/TNFファミリー」に属する。令和3年度は、当初予期していなかった事象について研究を進めた。すなわち、通常食で飼育したCartducinノックアウトマウスを絶食させた場合に、血液中のALTとASTの値が野生型マウスに比べて有意に高いことに気づいた。そのため、この事象の意義を明らかにするため、今年度は絶食にともなう肝臓組織を研究対象とした。通常食で飼育した生後20-24週齢オスのCartducinノックアウトマウスおよび同腹野生型マウスを20時間絶食させて、それぞれの表現型を比較検討したところ、ノックアウトマウスの肝臓では野生型マウスのそれと比べて、アミノ酸代謝に関わるALT遺伝子やAST遺伝子、糖新生に関わるG6Pase遺伝子などの発現が有意に増加していることが明らかになった。また、絶食時のアラニンからの糖新生を観察した結果、野生型マウスに比べてノックアウトマウスではアラニンからの糖新生が亢進していることがことが明らかになった。絶食させたノックアウトマウスの肝臓におけるこれらのアミノ酸代謝関連遺伝子や糖新生関連遺伝子の発現量の増加が、絶食時の糖新生に影響を与えたものと考えられた。これらの結果から、Cartducinが絶食時における肝臓でのアミノ酸代謝にも関わっているという当初予期していなかった新たな可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
(1)新型コロナウイルス感染症の影響、(2)所属する研究科の建物改修工事が急遽決まったため、研究室の仮実験室への移動や実験スペースの減少などが生じたこと、(3)Cartducinノックアウトマウスおよび同腹野生型マウスを準備する必要があったが、性別をオスで一致させたノックアウトおよび野生型マウスの組合せが同腹で生まれる確率が低いこと、などの理由により当初の計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた成果からも、肝細胞表面にはCartducin受容体が発現していると考えられる。これらを手がかりにしてCartducinの受容体分子の探索を予定している。また、肝臓でのアミノ酸代謝に関わるCartducinの作用メカニズムについても研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況が遅れていることもあり、研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なった。しかしながら、研究計画の全体に変更はなく、今後の研究の推進方策に基づいて前年度の研究費も含めて執行を進めていく。
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