2019 Fiscal Year Research-status Report
遠隔転移に関与するエクソソームmicroRNA解析による口腔癌治療標的分子の探索
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18K09537
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
柳本 惣市 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (10315260)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 口腔がん / 遠隔転移 / エクソソーム / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔癌は頭頸部癌の中に含まれるが,その中でも術後補助化学放射線療法の恩恵を受ける可能性が低く,局所頸部制御が良好であっても遠隔転移により経過不良となる場合が多い。今後の口腔癌の生存率向上のためには遠隔転移の制御が重要である。なかでも癌細胞から分泌されるエクソソームに含まれる分子が遠隔転移先の癌微小環境形成などを行うことにより癌転移において重要な役割を果たしていることが報告されている。 今年度の研究実績として,高播種性口腔癌細胞の浸潤・転移とくに遠隔転移形成に関与するエクソソーム由来のmicroRNAを特定することができた。しかしながら候補を1つとすると,その後の機能解析を行う際に,多様性を欠くことが予想されたため,2つの候補を挙げることとした。その結果,このmicroRNAによって癌細胞浸潤に関与するインテグリンや細胞接着に関与する接着分子(カドヘリンおよびβカテニン)が制御されることを明らかにした。さらにWnt経路に関与する分子についても変化を認めることが明らかとなり,これについては,さらに対象を広げた実験系を検討中である。 また,口腔癌細胞HSC-2, OSC19およびSAS細胞からマトリゲルインベージョンチャンバーを用いて,高浸潤能を持つ亜型としてクローニングされた高浸潤口腔癌細胞(それぞれHSC-2-HI, OSC19-HIおよびSAS-HI)をマウスに導入し,遠隔転移モデルを作製した。最終的に2つの候補について,それぞれの機能解析を行っている段階である。さらに,その後に検体として用いるヒト唾液のサンプリングを現在行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動物実験として,高浸潤能口腔癌細胞をマウス心腔内に投与する方法において,細胞数の調整に時間を要し,さらに摘出後のエクソソーム由来のmicroRNA抽出が困難を極めたため。
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Strategy for Future Research Activity |
唾液採取したのちに,リキッドバイオプシーとしてエクソソーム由来microRNAが有効であるかどうかを検討することに焦点を絞り,microRNAの機能解析と同時に唾液のサンプリングを行い,効率を改善することとする。
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Causes of Carryover |
情報収集のため参加予定の国際学会が,新型コロナウイルスのアウトブレークにより急遽,中止となったため次年度使用額が生じた。次年度の使用計画としては,唾液サンプリング数を増加させ,研究の質をたかめるため,その試薬購入に充てる予定である。
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