2021 Fiscal Year Research-status Report
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18K09539
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
山本 一彦 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (20243842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
國安 弘基 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00253055)
桐田 忠昭 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (70201465)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 反復配列RNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、リピート配列を有するRNAとしてテロメアリピート含有RNA(TERRA)を検討した。TERRAは、これまでサイレントゲノムドメインと考えられていたテロメア領域から転写されるロングノンコーディングRNA(lncRNA)である。TERRAは、サブテロメア領域から染色体末端に向かう方向に転写され、テロメアの完全性の維持やヘテロクロマチン形成に重要な役割を担っている。われわれは、ヒト口腔扁平上皮癌細胞株におけるTERRAの発現量、およびテロメア長を測定し、両者の関係を検討した。また、TERRAの陽性調節因子であるTTAGGG repeat binding factor-1 (TRF1)、陰性調節因子であるTTAGGG repeat binding factor-1 (TRF2)の発現を検討した。検討には、高転移株であるHSC3とKCN、低転移株であるHSC4を用いた。対照にはヒト末梢血リンパ球を使用した。高転移株ではTERRAの発現はほとんど検出できす、低転移株では低レベルの発現が認められた。テロメア長をqPCRで測定するといずれの細胞株でも著明に短縮しており、TERRA発現量との間に相関は認められなかった。なお、テロメラーゼ活性は高転移株で低転移株よりも高かった。TRF1およびTRF2の発現は、いずれの細胞株でも、TRF1発現低下とTRF2発現亢進が見られたが、その程度は高転移株より強かった。これらのことから、口腔扁平上皮癌では、TRF1および2によりTERRA発現は抑制されており、テロメラーゼ活性化に相関する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究分担者との連携を密にして実験を行うことにより結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
反復配列RNAの発現と口腔扁平上皮癌の生物学的性質との関係を明らかにし、臨床応用につなげていきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナの蔓延により学会参加を自粛したため、学会参加用の旅費と宿泊費として確保していた金額が次年度に繰り越したとなったが、その他はほぼ適正に使 用できていると考える。
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