2019 Fiscal Year Research-status Report
亜鉛の恒常性の破綻とエキソソームを介した軟骨代謝異常の解析
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18K09540
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
安原 理佳 昭和大学, 歯学部, 講師 (20453649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川嶋 章弘 昭和大学, 医学部, 講師 (10783376)
田中 準一 昭和大学, 歯学部, 講師 (40710166)
美島 健二 昭和大学, 歯学部, 教授 (50275343)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 亜鉛トランスポーター / 骨格成長 / シグナル伝達 / エキソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、必須微量因子である亜鉛の細胞内調節を担うZIP10(亜鉛トランスポーター)の骨格形成に対する役割解析を目的とする。前年度までにCre-loxPシステムを用いた骨ないし軟骨特異的ZIP10欠損マウスを作製し、胎生から成獣に至るまで四肢の短縮を伴う骨格形成異常や顎顔面骨の形成異常が確認された。今年度はType I collagen プロモーター下流でCreを発現するZIP10欠損マウス(Zip101cre cKO)から骨芽細胞および関節表層細胞を採取し、RNA-sequence法を用いた網羅的発現解析の追加解析を行なった。Zip10の発現低下に相反して、高発現するZipファミリーが検出され、その中には、骨代謝調節が示唆されているZip13が含まれていた。Gene Ontology 解析から、ZIP10を欠損した表層細胞は、細胞死に関わる遺伝子群が変動し、骨芽細胞や軟骨細胞では、細胞分化に関わる遺伝子群の発現変動が確認された。中でも、軟骨細胞では、FGFR3の発現低下や、初期から後期分化に関わるマーカー遺伝子の低下がみられた。一方で、骨芽細胞は、骨分化の後期マーカーが高発現した。in vitroでの骨芽細胞の培養系では、ホモ型Zip10欠損マウスは胎生致死のため、ヘテロ型Zip10欠損マウスから採取した骨芽細胞を用いたところ、Zip10のヘテロ欠損においても骨化の促進が確認できた。早期の骨化は、in vivoの表現系を示すと考えられる。今年度の結果は、Zip10が欠損することで、軟骨細胞の分化が抑制されること、関節表層細胞が細胞死に至ること、骨芽細胞の骨化を促進することが示された。Zip10が軟骨形成に重要な役割を果たすだけでなく、関節表層細胞の生存や、骨化調節を厳密に調節していることが示唆された。現在は、培養上清中に含まれるExosomeの解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画書におけるマウスでは、致死率が高く、解析に必要なマウスの確保が困難であったが、In vitroの実験を進める上での遺伝子欠損マウスの確保のため、全身でCreを発現するCreERマウスを用いたZip10欠損マウスの作製に着手した。実験を前後しながら計画にそって実験をすすめている。
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Strategy for Future Research Activity |
全身でCreを発現するCreERマウスを用いたZip10欠損マウスの作製に着手し、計画書における作製マウスの致死率の回避を試みている。CreERシステムを用いることで時期特異的な制御をすることで、in vitroの実験への応用を計画している。このマウスでは、1つの個体から、未分化間葉系幹細胞や骨芽細胞、軟骨細胞を採取でき、初代培養の培養中に形成されたExosomeの回収と解析を行っていく。
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Causes of Carryover |
今年度は、遺伝子マウスの作製に時間を要した。来年度に引き続きマウスの作製を進めるとともに、実験を前後しながら、in vitroでのタンパク、シグナル解析にかかわる実験を進めていく上での必要経費に算入すした。
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